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そういえば、国木田と谷口の存在を完全に忘れていた。 ひとまずこのみるきなる人物の事を聴いておく事にする。 二時間目の間は後ろにいるみるきを警戒して、俺は特にアクションを起こさず(寝そうになって精神棒ならぬ精神本で後頭部に打撃を食らって死にそうになったが)二時間目の終わりに聴こうとしたが、何故か俺の後頭部から視線は離れてくれないし出て行くと俺をストーキン グする仕草を見せるので、どうにかみるきが何処かに行くタイミングを見計らっていたわけだが、ようやく昼休み、みるきはフラフラっと何処かへ行ってくれた。 よし、弁当食いつつ情報収集だ。 「なあ。お前ら」 弁当を何故か楽しそうにかき回す谷口と、反対にごく普通に弁当を食らう国木田に 「涼門みるきさんについての情報を、すべて教えてくれ」 と言ってみた。例によって気の毒そうな顔になる二人だったが、別に答えない義理は無いようで 「彼女は・・・まぁおかしな人だ」 やばいのか? 「いや、お前のヤバイ基準がどの程度かは知らんが、そんなにヤバイ奴でもないとは思う」 どういうことだよ。 「まあ無意味なことは良くしてたぜ。友達の頭にジュースこぼしたら顔ごと舐めてジュースを除去しただとか、 中学校のズラ校長のズラを外してオリーブオイル染み込ませた布巾で拭いて殴られたり、雨降らなくてあわや干ばつって時期に、 校庭のど真ん中に立ってぼーっと空を見上げてなにやら呪文を唱えてたり」 「雨は降ったのか?」 「ヤツが立ち始めてから1時間くらいたったころ、突然入道雲が発生して大雨を降らせたとさ」 巫女さんの才能もあるようだな。 「ただ、そんなにヤバい奴じゃない。むしろ役に立つ奴だ。中学時代、クラスが荒れてどうも纏まらなかった時期に、不良どもに蹴られ殴 られしながらクラスを建て直した上に、不良グループを全員公正させちまったんだからな。・・・ってか、この話以前お前にしたような気がするが」 「気にするな。俺は若年性痴呆なんだ」 「お気の毒にな。そりゃ前から後頭部を鈍器で殴られまくってりゃそうなるよな」 今日に限らず結構殴られてたんだな。 「お前、マジで脳外科に行ったほうが良いかもしれないぞ」 「そうだよキョン。動脈瘤とかなら、発見さえ早ければ十分完治は可能だからね。大学病院なら知り合いが居るし、話通しておこうか?」 「大丈夫だ。冗談だよ」 「それよりキョン」 谷口はなにやらニヤつきながら俺のほうに身を乗り出し 「お前、涼門さんに気でもあんのかぁ?」 そりゃな。俺の萌え三大要素がすべてミックスされてるようなもんだからな、とは口が裂けても言えない。 「もし気があるなら・・・あきらめろ。他にもお前が好きになれそうな女性は一杯いる。悪いことは言わん。手を引いてくれ!」 どうした谷口! 「俺は・・・俺はどうやら彼女を好いてしまったようなのだよ、キョン君」 トチ狂ったか谷口。 「あのなんともいえない神々しいオーラ、もはや神性を感じざるをえないその知識量、大きな胸・・・ああ、俺はあの人の手にかかって死ぬなら、本望だ」 日本語おかしいぞ谷口。それに、その台詞はどこぞのスパイが言うような台詞であって、少なくともお前のような学なし能無し女っ気無しの男が言っていい台詞じゃない。 「聞き捨てならんぞその言葉」 アヘアヘ、と擬音がついてしまいそうだった弛緩した顔から一変、やたら眼光を利かした鋭い表情に変わり・・・きれてはいないようで、 相変わらず口が弛緩している。お前、その顔は正直ヤバイ。 「す・・・すまん、俺としたことが」 ヨダレを拭け。 そんな奇妙な問答をしているうちに、みるきはふらふらと教室に戻って来、その数分後昼休み終了のチャイムが校内に鳴り響いた。 さて、あっという間に放課後だ。 まあ色々と後ろのみるきと話をしてやろうかと思っていたんだが、何故か昼過ぎからはだんまりを決め込むし、第一何故か抜き打ちの模試とかいう奴が始まってしまったので、満足に会話すらする暇もなく、心的余裕も無かった。 ハルヒ並みの気まぐれ女のようだな。ほかにあの二人が融合してんだから、ちっとはましな精神構造になってるかと思ってたんだが・・・ ひとまず放課後、みるきの後を付けてみることにした俺であった。 「やぁ。僕もご一緒させて戴いてよろしいですか?」 俺の背後に怪しい奴。 古泉以外の誰でもない。 「何か見つけてくれるのであれば、ついて来てもいいぞ」 「そのつもりです」 ガチホモ疑惑ありの微笑み青年は、ご一緒させていただくとか言いながら先陣切ってみるきの後を追い始めやがった。 おい待てよ。 「正直、悠長に待ってる時間はありません」 どういうことだ?古泉は若干スピードを落とし俺と並び、小声で 「この時間平面上の情報が改変されかけているようです」 おいおい、お前も未来人的能力を持っちまったのか?どうしてそんなことが判る。 「先刻、他のTFEI端末・・・もとい喜緑さんからのコンタクトを受けて判明しました」 「このままだとどうなるんだ?」 「さあ、予測もつきません」 微笑少年の顔が歪む。 「最低でも長門さんを分離させないと危険です。精神構造は涼宮さんのままなのですから、長門さんの能力を駆使して何かをやらかす前に、どうにかして止めねばなりません」 「止めるってどうやって」 「だから、あなたは鍵なんです。なんでも協力します。なんなら僕のア・・・いえ、何したって構いません。とにかく早急に”鍵穴”を見つけ出してください」 お前、アレと鍵穴をかけようとしたな。 まあいい。みるきの後をつけるのが先だ。 さて、しばらくみるきの追跡を続けるわけだが、案の定部室棟への最短ルートをとるように歩き、部室棟の、ある一室へと消えた。 ある一室。 文芸部部室である。 いや、文芸部部室じゃないな。 SOS団部室だ。ちゃんとドアに張られてる紙にもそう書かれている。 ま、明らかにハルヒの字じゃなかったがな。 長門の字に近い、綺麗な明朝体だ。 「さあ、入りましょう。そんな虎穴に入る狩人みたいな顔しなくても大丈夫ですよ」 「どうしてそんなにお前は平静を保っていられるんだ」 「仮にも僕達はSOS団員なんですから」 「それはこの、三人が融合しちまった世界にも継承されているのか?」 「ええ。恐らく2人意外の誰かと涼宮さんが融合していたらその限りではなかったようですが」 大丈夫です。SOS団副団長として保障しますと言い残し、先に扉を開ける古泉副団長であったが、なぜか一瞬顔を顰めたかと思うと すぐに扉を閉めてしまった。 「どうした?入れよ」 「恐らくあなたがまず入るべきです、早く!」 「んだよ」 別にドア開けて入るくらいのカロリー消費には目を瞑れる。 「判った、先に入るよ」 ギィ、と扉を開けてそろりと中に入ると 長門がいた。 先日消えたはずの長門が。 「手を貸して」 顔だけ長門なグニョグニョは言った。 顔こそ長門だが、首から下は先ほど見たみるきのソレである。おまけにまるで擬態中の昆虫か遺伝子改良されたアメーバか何かのように、目まぐるしく首から下の色、形状が変化していく。 こいつは何かUMAの細胞でも移植した新人類か何かだろうか。 「早く、手を貸して。私の頭を掴んで手前に引っ張って。思い切り」 声は確実に長門のソレだ――ええい、どうとでもなりやがれ! 「古泉、みるきの肩掴んで後ろから引っ張れ!俺は正面から頭掴んで引っ張る!」 「わかりました!」 俺はまるで両面テープに引っ付いた保護カバーを引き剥がすかのごとく、長門の髪を掴んで思い切りを手前に引っ張った。 すまねえ、ハゲたら俺の所為だ。 すっぽん そういう擬音が聞こえてもおかしくない感触を残して、長門のようなものは目まぐるしく変化を続けていたみるきの体から引き離された。 古泉は勢い余って持っていたみるきの体ごと後頭部からダイブする。 「あいたたた・・・」 確かにヤバイダイブの仕方だったが、そんなに痛そうには見えんぞ、古泉。 ははっ、と自嘲めいた笑いを漏らすと、よっこらせと一緒に倒れたみるきの体を引き起こし、壁にもたれかけさせた。 分離?いや脱皮という方が正しいかもしれない。だが、脱皮と違って抜け殻にあたるみるき・・・いや長門が抜けたから”みるひ(仮)”としておこう・・・の体は色を変え、光を放ち、ついでに形まで変化させまくっていたし、見た感じ長門が新型長門へと変化を遂げたわけでもないようだ。 しばらく何故か顔を手でぺたぺた触っていた長門だったが、気が済んだのか ふぅ、と珍しく安堵にも似た溜息をつき 「ありがとう」 といって、俺と古泉を特に何の感慨もなさそうに眺めた。 ま、少々申し訳なさそうな色を液体窒素的な冷たさの瞳に浮かべてはいるが。 いやいや、例には及ばんさ。 しかしまぁ、こうもあっさりと長門が分離してくれるとは。 「現在新規情報の整理を実行中・・・完了」 長門は機械的な言葉をつぶやき、 「非常に苦労した。2時間と25分をかけて”私”の存在確率を上げ、その後融合しかけていた私の意識と情報野を強制的に分離、その後物理的分離を実行した」 未だ絶賛変化中のみるひ(仮)をちょっと気味悪そうに眺めながら古泉が 「強制的に、とはどういう風にです?」 「癒着したデータを構成するセルの一部をパージ、このインターフェース内に存在するバックアップデータの一部を利用して擬似再生した」 という事は、昨日の消滅前の長門ではないということか? 「結果的にはそう。一部の情報を失っていたりもするし、涼宮ハルヒおよび朝比奈みくるに起因する情報の一部を持っていたりもする。失った情報は殆ど再生されたため、問題ない。しかしながら私の情報因子が二人に深く侵食していたため、パージし情報を擬似再生する際他の二人の情報も顕著に再生された」 「どういうことだ?」 「私は、ほか二人を構成する情報の一部を持った」 なにやら長門は俺が見たことの無いほどのエネルギーを眼孔に湛えて 「新・長門有希ということ」 力を込めて言い放った。 前 次
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ヴァイスサイド 涼宮ハルヒの憂鬱カードリスト ブースター エクストラブースター トライアルデッキ パワーアップセット プロモーションカード 総評 ブースター 発売日:2009/12/19(土) カード種類数:全100種(RR:8種/R:20種/U:28種/C:32種/CR:4種/CC:8種)+パラレル16種(SP:2種/RRR:6種/SR:8種) 番号 種類 レアリティ 色 カード名 レベル/コスト スペック 特徴 SY/W08-001 キャラ RR RRR 黄 キョン 0/0 2500/1/0 《SOS団》 SY/W08-002 キャラ RR 黄 サンタっ娘ハルヒ&キョン 3/2 10000/2/1 《団長》 《SOS団》 SY/W08-003 キャラ R SR 黄 Xmasパーティ キョンの妹 0/0 500/1/0 《動物》 SY/W08-004 キャラ R RRR 黄 謎の転校生 古泉 1/0 2500/1/0 《超能力》 《SOS団》 SY/W08-005 キャラ R 黄 見えざる信頼関係 ハルヒ&キョン 1/1 5500/1/1 《団長》 《SOS団》 SY/W08-006 キャラ R 黄 “いつも”のキョン 2/1 8000/1/1 《SOS団》 SY/W08-007 キャラ R SR 黄 浴衣のキョン 2/2 7500/2/1 《SOS団》 《和服》 SY/W08-008 キャラ U 黄 森 園生 1/0 3000/1/0 《メイド》 SY/W08-009 キャラ U 黄 水着のキョンの妹 1/0 4500/1/0 《動物》 《水着》 SY/W08-010 キャラ U 黄 部室のキョン 1/1 5000/1/1 《メカ》 《SOS団》 SY/W08-011 キャラ U 黄 古泉 一樹 2/2 8000/2/1 《超能力》 《SOS団》 SY/W08-012 キャラ U 黄 部室の長門&古泉 2/1 2500/1/1 《宇宙人》 《超能力》 SY/W08-013 キャラ C 黄 クラスメイト国木田 0/0 500/1/0 《特徴なし》 SY/W08-014 キャラ C 黄 エプロン姿のキョン 0/0 1000/1/0 《本》 《SOS団》 SY/W08-015 キャラ C 黄 エプロン姿の古泉 0/0 1500/1/0 《超能力》 《本》 SY/W08-016 キャラ C 黄 クラスメイト谷口 0/0 2500/1/0 《特徴なし》 SY/W08-017 キャラ C 黄 がんばりすぎのみくる&キョン 0/0 3000/1/0 《時間》 《SOS団》 SY/W08-018 キャラ C 黄 ダンディな執事 新川 1/0 4500/1/0 《執事》 SY/W08-019 キャラ C 黄 キョンの妹&朝倉 2/1 8500/1/1 《動物》 《宇宙人》 SY/W08-020 イベント U 黄 合宿の夜 1/1 EV SY/W08-021 イベント U 黄 雨の日の帰り道 2/1 EV SY/W08-022 イベント C 黄 ふもっふ! 2/2 EV SY/W08-023 クライマックス CR 黄 涼宮ハルヒの朗報 CX 2 SY/W08-024 クライマックス CC 黄 sleeping beauty_ CX 1・風 SY/W08-025 クライマックス CC 黄 閉鎖空間 CX 1・炎 SY/W08-026 キャラ RR RRR 緑 異時間同位体 みくる&みくる(大) 2/1 8000/1/1 《時間》 《SOS団》 SY/W08-027 キャラ RR 緑 ドジっ娘みくる 2/2 2500/2/1 《時間》 《SOS団》 SY/W08-028 キャラ R SR 緑 おめかし鶴屋さん 0/0 1500/1/0 《オデコ》 《八重歯》 SY/W08-029 キャラ R 緑 朝比奈 みくる 0/0 2000/1/0 《時間》 《SOS団》 SY/W08-030 キャラ R 緑 温泉の鶴屋さん 0/0 2000/1/0 《オデコ》 《八重歯》 SY/W08-031 キャラ R RRR 緑 時をかける少女みくる 1/0 500/1/0 《時間》 《本》 SY/W08-032 キャラ R SR 緑 水着のハルヒ&みくる 1/1 5000/1/1 《団長》 《時間》 SY/W08-033 キャラ U 緑 おめかしみくる 1/0 3000/1/0 《時間》 《SOS団》 SY/W08-034 キャラ U 緑 ネコミミ 鶴屋さん 1/0 3000/1/0 《オデコ》 《動物》 SY/W08-035 キャラ U 緑 ビーチバレー みくる&鶴屋さん 1/1 7000/1/0 《水着》 《スポーツ》 SY/W08-036 キャラ U 緑 ウェイトレス鶴屋さん 2/2 7500/2/1 《オデコ》 《ウェイトレス》 SY/W08-037 キャラ U 緑 ネコミミ みくる 3/2 10000/2/1 《時間》 《動物》 SY/W08-038 キャラ C 緑 サイン会みくる 0/0 500/1/0 《時間》 《本》 SY/W08-039 キャラ C 緑 SOS団のマスコットみくる 0/0 2000/1/0 《時間》 《メイド》 SY/W08-040 キャラ C 緑 ウェイトレスみくる 0/0 2000/1/0 《時間》 《ウェイトレス》 SY/W08-041 キャラ C 緑 バニーガール ハルヒ&長門&みくる 0/0 3000/1/0 《動物》 《SOS団》 SY/W08-042 キャラ C 緑 未来から来たみくる 1/0 4500/1/0 《時間》 SY/W08-043 キャラ C 緑 Xmasパーティ 鶴屋さん&みくる 2/1 8000/1/1 《時間》 《オデコ》 SY/W08-044 キャラ C 緑 ミラクルガール みくる 2/2 9000/2/1 《時間》 《メイド》 SY/W08-045 イベント U 緑 みくるビーム 1/1 EV SY/W08-046 イベント U 緑 任意同行? 1/4 EV SY/W08-047 イベント C 緑 野球大会 2/0 EV SY/W08-048 クライマックス CR 緑 涼宮ハルヒの日常 CX 宝 SY/W08-049 クライマックス CC 緑 禁則事項です CX 袋 SY/W08-050 クライマックス CC 緑 もうボロ儲けだよっ! CX 2 SY/W08-051 キャラ RR 赤 Xmasパーティ ハルヒ&キョン 1/2 5500/1/1 《団長》 《SOS団》 SY/W08-052 キャラ RR SP 赤 SOS団団長ハルヒ 2/2 8500/2/1 《団長》 《SOS団》 SY/W08-053 キャラ R SR 赤 浴衣のハルヒ 0/0 500/1/0 《団長》 《和服》 SY/W08-054 キャラ R 赤 温泉のハルヒ 0/0 1000/1/0 《団長》 《SOS団》 SY/W08-055 キャラ R SR 赤 世界の中心ハルヒ&ちっぽけなハルヒ 0/0 2500/1/0 《団長》 《SOS団》 SY/W08-056 キャラ R SP 赤 “いつも”のハルヒ 1/0 5000/1/0 《団長》 《SOS団》 SY/W08-057 キャラ R 赤 ビーチバレー ハルヒ 2/2 5000/2/1 《団長》 《スポーツ》 SY/W08-058 キャラ U 赤 超編集長ハルヒ 0/0 1000/1/0 《メガネ》 《本》 SY/W08-059 キャラ U 赤 おめかしハルヒ 0/0 2000/1/0 《団長》 《SOS団》 SY/W08-060 キャラ U 赤 退屈を嫌うハルヒ 1/0 4500/1/0 《団長》 《SOS団》 SY/W08-061 キャラ U 赤 浴衣のハルヒ&みくる 1/0 5500/1/0 《和服》 《SOS団》 SY/W08-062 キャラ U 赤 Happy Valentineハルヒ 1/1 5500/1/1 《団長》 《お菓子》 SY/W08-063 キャラ C 赤 両手いっぱいの花束ハルヒ 0/0 500/1/0 《団長》 《SOS団》 SY/W08-064 キャラ C 赤 涼宮 ハルヒ 0/0 3000/1/0 《団長》 《SOS団》 SY/W08-065 キャラ C 赤 ボーカリスト ハルヒ 1/1 2000/1/1 《団長》 《音楽》 SY/W08-066 キャラ C 赤 勝利宣言ハルヒ 2/1 6500/1/1 《団長》 《和服》 SY/W08-067 キャラ C 赤 ネコミミ ハルヒ 2/1 8000/1/1 《団長》 《動物》 SY/W08-068 キャラ C 赤 クラッカー ハルヒ 2/2 9000/2/1 《団長》 《SOS団》 SY/W08-069 キャラ C 赤 トラブルガール ハルヒ 3/2 10000/2/1 《団長》 《本》 SY/W08-070 イベント U 赤 市内探索ツアー 1/3 EV SY/W08-071 イベント U 赤 色褪せた世界 2/1 EV SY/W08-072 イベント C 赤 ただの人間には興味ありません 1/1 EV SY/W08-073 クライマックス CR 赤 Happy Valentine CX 2 SY/W08-074 クライマックス CC 赤 SOS団誕生! CX 2 SY/W08-075 クライマックス CC 赤 サムデイ イン ザ レイン CX 扉 SY/W08-076 キャラ RR RRR 青 宇宙人 長門&朝倉&喜緑 0/0 1500/1/0 《宇宙人》 《本》 SY/W08-077 キャラ RR RRR 青 おめかし長門 3/2 9500/2/1 《宇宙人》 《本》 SY/W08-078 キャラ R 青 長門 有希 0/0 1500/1/0 《宇宙人》 《SOS団》 SY/W08-079 キャラ R SR 青 眼鏡っ娘 長門 1/0 5000/1/0 《宇宙人》 《メガネ》 SY/W08-080 キャラ R 青 朝倉 涼子 1/1 5000/1/1 《宇宙人》 《武器》 SY/W08-081 キャラ R 青 無口キャラ 長門 2/1 7500/1/1 《宇宙人》 《SOS団》 SY/W08-082 キャラ R SR 青 チャイナドレスの長門 2/2 7500/2/1 《宇宙人》 《ドレス》 SY/W08-083 キャラ U 青 水着のハルヒ&長門 1/0 4500/1/0 《団長》 《宇宙人》 SY/W08-084 キャラ U 青 温泉の長門&みくる 1/0 5500/1/0 《宇宙人》 《時間》 SY/W08-085 キャラ U 青 ビーチバレー 長門 1/1 1000/1/1 《宇宙人》 《スポーツ》 SY/W08-086 キャラ U 青 ギタリスト 長門 2/1 5500/1/1 《宇宙人》 《音楽》 SY/W08-087 キャラ U 青 情報統合思念体の端末 長門 2/2 8500/2/1 《宇宙人》 《本》 SY/W08-088 キャラ C 青 Xmasパーティ 長門 0/0 1000/1/0 《宇宙人》 《SOS団》 SY/W08-089 キャラ C 青 浴衣の長門&キョンの妹 0/0 1000/1/0 《宇宙人》 《和服》 SY/W08-090 キャラ C 青 エプロン姿の長門 0/0 1000/1/0 《宇宙人》 《本》 SY/W08-091 キャラ C 青 スイカを食べる長門 0/0 2000/1/0 《宇宙人》 《スイカ》 SY/W08-092 キャラ C 青 ネコミミ 長門 0/0 3000/1/0 《宇宙人》 《動物》 SY/W08-093 キャラ C 青 依頼人第一号 喜緑 1/0 2500/1/0 《宇宙人》 《生徒会》 SY/W08-094 キャラ C 青 クールガール 長門 2/1 8500/1/1 《宇宙人》 《本》 SY/W08-095 イベント U 青 しおりの伝言 1/1 EV SY/W08-096 イベント U 青 離れないで 2/1 EV SY/W08-097 イベント C 青 情報連結解除 2/0 EV SY/W08-098 クライマックス CR 青 私のこと、あなたに教えておく CX 2 SY/W08-099 クライマックス CC 青 情報制御空間の死闘 CX 本 SY/W08-100 クライマックス CC 青 うん、それ無理 CX 2 エクストラブースター 発売日:一般発売:2011/01/29(土) 先行発売:2010/12/29(木) (コミックマーケット79 ブシロードブース) カード種類数:全27種(R:9種/C:18種)+パラレル45種(サイン:2種/ホイル:27種/イラスト違い[ホイル]:8種/イラスト違い[ノーマル]:8種) 番号 種類 レアリティ 色 カード名 レベル/コスト スペック 特徴 SY/WE09-01 キャラ C 黄 キョン&古泉 0/0 1500/1/0 《超能力》 《SOS団》 SY/WE09-02 キャラ C 黄 星を語る古泉 0/0 2500/1/0 《超能力》 《SOS団》 SY/WE09-03 キャラ C 黄 夜空を見上げるキョン 1/0 4500/1/0 《SOS団》 SY/WE09-04 キャラ C 黄 小学五年生 キョンの妹 2/2 8500/2/1 《動物》 SY/WE09-05 キャラ R 緑 星に願うみくる 0/0 2000/1/0 《時間》 《メイド》 SY/WE09-06 キャラ R 緑 時間跳躍 キョン&みくる 1/0 2500/1/0 《時間》 《SOS団》 SY/WE09-07 キャラ R 緑 みくるとの出会い みくる(大) 2/1 2000/1/1 《時間》 SY/WE09-08 キャラ C 緑 元気な先輩 鶴屋さん 0/0 1000/1/0 《オデコ》 《八重歯》 SY/WE09-09 キャラ C 緑 バイト中のみくる 0/0 3000/1/0 《時間》 《カエル》 SY/WE09-10 キャラ C 緑 お花見 みくる 1/0 4500/1/0 《時間》 《SOS団》 SY/WE09-11 キャラ C 緑 セミ採り合戦 みくる 2/2 8500/2/1 《時間》 《SOS団》 SY/WE09-12 クライマックス C 緑 導く役目 CX 宝 SY/WE09-13 キャラ R 赤 “超監督”ハルヒ 1/1 3500/1/1 《団長》 《SOS団》 SY/WE09-14 キャラ R 赤 お花見 ハルヒ 2/2 10000/1/1 《団長》 《SOS団》 SY/WE09-15 キャラ R 赤 “笹の葉ラプソディ”ハルヒ 2/1 5000/1/1 《特徴なし》 SY/WE09-16 キャラ C 赤 世界を変える少女 ハルヒ 0/0 2500/1/0 《団長》 《SOS団》 SY/WE09-17 キャラ C 赤 水着のハルヒ 1/0 5000/1/0 《団長》 《水着》 SY/WE09-18 キャラ C 赤 夏祭りのハルヒ 1/1 7000/1/0 《団長》 《和服》 SY/WE09-19 イベント C 赤 エンドレスエイト 1/1 EV SY/WE09-20 クライマックス C 赤 私はここにいる CX 2 SY/WE09-21 クライマックス C 赤 夏の終わり CX 2 SY/WE09-22 キャラ R 青 観察者 長門 0/0 2500/1/0 《宇宙人》 《SOS団》 SY/WE09-23 キャラ R 青 魔法使い長門&シャミセン 1/0 2000/1/0 《宇宙人》 《動物》 SY/WE09-24 キャラ R 青 夏祭りの長門 3/2 10000/2/1 《宇宙人》 《仮面》 SY/WE09-25 キャラ C 青 待機モード 長門 1/1 7000/1/0 《宇宙人》 《メガネ》 SY/WE09-26 キャラ C 青 お花見 長門 2/1 8000/1/1 《宇宙人》 《SOS団》 SY/WE09-27 クライマックス C 青 残り二週間の夜 CX 本 トライアルデッキ 発売日:2009/11/21(土) カード種類数:全19種(先行収録:17種/限定:2種)+パラレル2種 番号 種類 レアリティ 色 カード名 レベル/コスト スペック 特徴 封入数 SY/W08-T01 キャラ TD 赤 涼宮 ハルヒ 0/0 3000/1/0 《団長》 《SOS団》 4 SY/W08-T02 キャラ TD 赤 両手いっぱいの花束ハルヒ 0/0 500/1/0 《団長》 《SOS団》 4 SY/W08-T03 キャラ TD 赤 浴衣のハルヒ&みくる 1/0 5500/1/0 《和服》 《SOS団》 2 SY/W08-T04 キャラ TD 赤 ボーカリスト ハルヒ 1/1 2000/1/1 《団長》 《音楽》 2 SY/W08-T05 キャラ TD 赤 ネコミミ ハルヒ 2/1 8000/1/1 《団長》 《動物》 2 SY/W08-T06 キャラ TD 赤 勝利宣言ハルヒ 2/1 6500/1/1 《団長》 《和服》 2 SY/W08-T07 キャラ TD 赤 クラッカー ハルヒ 2/2 9000/2/1 《団長》 《SOS団》 4 SY/W08-T08 キャラ TD 赤 トラブルガール ハルヒ 3/2 10000/2/1 《団長》 《本》 2 SY/W08-T09 クライマックス TD 赤 SOS団誕生! CX 2 2 SY/W08-T10 クライマックス TD 赤 サムデイ イン ザ レイン CX 扉 4 SY/W08-T11 キャラ TD 青 Xmasパーティ 長門 0/0 1000/1/0 《宇宙人》 《SOS団》 2 SY/W08-T12 キャラ TD 青 ネコミミ 長門 0/0 3000/1/0 《宇宙人》 《動物》 4 SY/W08-T13 キャラ TD 青 スイカを食べる長門 0/0 2000/1/0 《宇宙人》 《スイカ》 2 SY/W08-T14 キャラ TD 青 水着のハルヒ&長門 1/0 4500/1/0 《団長》 《宇宙人》 4 SY/W08-T15 キャラ TD 青 温泉の長門&みくる 1/0 5500/1/0 《宇宙人》 《時間》 4 SY/W08-T16 イベント TD 青 情報連結解除 2/0 EV 2 SY/W08-T17 クライマックス TD 青 私のこと、あなたに教えておく CX 2 2 SY/W08-101 キャラ TD 赤 いつものハルヒ&みくる 2/1 8500/1/1 《団長》 《時間》 1 SY/W08-102 キャラ TD 青 いつもの長門 0/0 2500/1/0 《宇宙人》 《本》 1 パワーアップセット 発売日:2016/12/23(土) (ブシロード公認店 限定販売商品) カード種類数:全8種+パラレル8種+特別封入PR1種 番号 種類 レアリティ 色 カード名 レベル/コスト スペック 特徴 SY/WP02-01 キャラ PS SR 緑 ひと休み みくる 0/0 2000/1/0 《時間》 《SOS団》 SY/WP02-02 キャラ PS SR 緑 トナカイ みくる 3/2 9500/2/1 《時間》 《SOS団》 SY/WP02-03 キャラ PS SR 赤 ひと休み ハルヒ 0/0 1500/1/0 《団長》 《SOS団》 SY/WP02-04 キャラ PS SR 赤 傍若無人 ハルヒ 1/0 4500/1/0 《団長》 《SOS団》 SY/WP02-05 キャラ PS SR 赤 “10th Anniversary”ハルヒ 3/2 10000/2/1 《団長》 《SOS団》 SY/WP02-06 クライマックス PS SR 赤 ある日の部室 CX 2 SY/WP02-07 キャラ PS SR 青 ツリー色のドレス 長門 0/0 1500/1/0 《宇宙人》 《SOS団》 SY/WP02-08 キャラ PS SR 青 ひと休み 長門 1/0 6000/1/0 《宇宙人》 《SOS団》 プロモーションカード 番号 種類 レアリティ 色 カード名 レベル/コスト スペック 特徴 SY/W08-103 キャラ PR 赤 涼宮ハルヒの憂鬱 0/0 3000/1/0 《SOS団》 《団長》 SY/W08-104 キャラ PR 赤 好奇心ハルヒ 0/0 3000/1/0 《団長》 《SOS団》 SY/W08-105 キャラ PR 赤 “Merry Xmas”ハルヒ 1/1 5500/1/1 《団長》 《SOS団》 SY/W08-106 キャラ PR 青 ウェディングドレスの長門 0/0 2000/1/0 《宇宙人》 《ドレス》 SY/W08-107 キャラ PR 緑 ウェディングドレスのみくる 0/0 2000/1/0 《時間》 《ドレス》 SY/W08-108 キャラ PR 赤 ウェディングドレスのハルヒ 0/0 1500/1/0 《団長》 《ドレス》 SY/W08-109 クライマックス PR 緑 団員ボシュウ中! CX 2 SY/W08-110 キャラ PR 黄 長門&ハルヒ&みくる 2/2 7500/2/1 《SOS団》 SY/W08-111 キャラ PR 赤 宇宙に思いをはせるハルヒ 0/0 2500/1/0 《特徴なし》 SY/W08-112 キャラ PR 赤 お正月 ハルヒ&長門&みくる 2/1 7000/1/1 《SOS団》 《和服》 SY/W08-113 キャラ PR 赤 超編集長ハルヒとその助手 1/1 3500/1/1 《SOS団》 SY/W08-114 キャラ PR 青 平穏な日常 有希 1/1 5500/1/1 《本》 《メガネ》 SY/WE09-28 キャラ PR 青 文芸部の有希 2/1 8000/1/1 《メガネ》 《本》 SY/WE09-29 キャラ PR 赤 唯我独尊 ハルヒ 0/0 2500/1/0 《団長》 《SOS団》 SY/WE09-30 キャラ PR 赤 夏祭りの夜 ハルヒ 0/0 2000/1/0 《団長》 《和服》 SY/WE09-31 キャラ PR 赤 負けず嫌い ハルヒ 1/0 5000/1/0 《団長》 《SOS団》 SY/WE09-32 キャラ PR 赤 体育祭のハルヒ 1/1 6500/1/0 《団長》 《SOS団》 SY/WP02-09 キャラ PR 赤 夏の眼福 ハルヒ&みくる? 3/2 10000/2/1 《団長》 《SOS団》 SY/WP02-10 キャラ PR 赤 みくるをプロデュース ハルヒ? 2/1 4000/1/1 《団長》 《SOS団》
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▽タグ一覧 テレビアニメ 京都アニメーション 兵庫 時間ループ 涼宮ハルヒの憂鬱 野球 音MAD素材 高校生 ニコニコで【涼宮ハルヒの憂鬱】タグを検索する 概要 角川スニーカー文庫のライトノベル。 作者:谷川流 イラスト:いとうのいぢ 2006年には京都アニメーションによりアニメ化。 アニメが大ヒットし「ハレ晴レユカイ」「最強パレパレード」による踊ってみた・歌ってみたブーム、ニコニコ動画におけるMADブーム、「涼宮ハルヒの激奏」によるアニメによる声優ライブブームとキャラソンブーム、その後の「らき☆すた」「けいおん」などにも繋がる京都アニメーションブームなど様々で大きなムーブメントを引き起こしたヲタク界における2000年台を代表する作品のひとつ。 ストーリー 女子高生・涼宮ハルヒが、「宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶこと」を目的に設立したクラブ「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団」(通称:SOS団)のメンバーを中心に展開する、「ビミョーに非日常系学園ストーリー」。
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雪山で遭難した冬休みも終わり3学期に突入し、気付けばもうすぐ学年末テストの時期になった なのに相変わらず、この部屋で古泉とボードゲームに興じている俺ははたから見ればもともと余裕のある秀才か、ただのバカか2つにひとつだろう どちらなのかは言わなくてもわかるだろ? 先程、俺と古泉に世界一うまいお茶を煎れてくれた朝比奈さんもテスト勉強をしている 未来人なんだから問題を知ることぐらい容易であるように思えるがその健気さも彼女の魅力の一つだ この部屋の備品と化している長門も今日はまだ見ていない 最近はコンピューター研にいることが多いようで遅れて来ることもしばしばだ 観察はどうした?ヒューマノイド・インターフェイス 「最近涼宮さんに変化が訪れていると思いませんか?」 わざわざ軍人将棋なんてマイナーなものを持ってきやがった、いつものにやけ面がもう勝てないと踏んだのか口を開いた 「その台詞、前にも聞いたぞ、今度はなんだ?」 半ば勝ちが決まったゲームの駒をすすめながらこたえる 「いや、失礼。表現があまりよくなかったようですね。あなたが最近…というかクリスマスイブ以降、長門さんに無意識に目がいくようになったのを目ざとく最初に見つけたのは涼宮さんです。」 「質問の答えになってない」 俺の言葉は自分で思ったよりぶっきらぼうだったらしく古泉は微笑のなかで眉をひそめた 「最後まで聞いてください。あなたには話していませんでしたが、それ以来閉鎖空間の頻度が少しだけあがっているのです」 「ほお、それで?」 聞き役に撤するのは得意ではないが、ここは言葉を続けさせるべきだろう 「あなたが長門さんを気にするのを涼宮さんは気に入らないのですよ」 にやけ面が含み笑いを取り入れ、いつもの数倍は苛立つ顔になる あまり続きを聞きたくなくなったので手元のボードゲームの勝ちを決めることにした 「あなたも、もし僕が朝比奈さんと仲睦まじげに話していたらイライラするでしょう?…それとも、この例えは涼宮さんの方が的確でしたか?」 やめろ、古泉 忘れたかった記憶が戻ってきそうだ 「ありません」 勝ちが決まったゲームを投了するのはいささか不快だが話を終わらせる手段はこれしか見つからなかった 「投了ですか?確実に負けたと思っていましたが、あなたには何手先が見えたんです?」 今しか見えていないさ 話を中断する理由がほしかっただけだ とも言えないので俺は黙ってお茶を飲むことに集中した うん、うますぎる 「そんなことはどうでもいいですね、今回は僕の勝ちです」 そう言いながら古泉は対戦成績表に丸をつける ながら丸付けか、小学校の教師ならやりそうだ 「では話を戻しましょうか」 思わずお茶を吹き出しそうになるがもったいないことこのうえない しかし、ごまかしたと一瞬でも油断した俺がバカだった 俺がバカなのは冒頭で述べたばかりなのでいまさらだが 「涼宮さん風に言うと、一種の精神病ですね、彼女はまさに今その状態です」 やめろ、そこまで記憶がさかのぼると閉鎖空間での悪夢を思い出す そんな俺の危惧を知ってか知らずか古泉は続ける 「閉鎖空間から涼宮さんと二人で戻って来れたのですからあなたもまんざらでもないのでしょう?」 …近くに44オートマグがあったなら自分の頭を打ち抜いていただろう 銃刀法に感謝しろ、古泉 「おやおや、そんな顔をするなんて予想外でした。続きを話すのが少し億劫になってきましたね」 そんなことを言いながらもちっとも表情を崩さない古泉に殺意すらおぼえた どういう言葉で殺意を表してやろうか考えていると、いつものようにどでかい音をたてて我らが団長が飛び込んできた 「やっほー!みんないる?」 銀河系の星達がすべてちりばめられたような笑顔を振りまきながら入ってきたハルヒ やばいな、これは何かろくでもないことを思いついた時の顔だ 「…あれ?有希はまだ来てないの?」 寡黙な宇宙人の指定席であるパイプイスに目をおき、疑問をなげかける 「長門なら、多分コンピ研じゃないか?」 疑問にこたえたのは俺だった 朝比奈さんはハルヒのお茶を煎れに行ってしまったし、古泉は微笑を浮かべるだけなので自動的にこたえるのが俺の役割になっていた 「ふぅん、じゃああたし連れ戻してくるから、それまでに会議の準備しといて」 それだけ言うとハルヒはスピードスケートの清水のようなスタートダッシュで駆け出した やれやれ、おっとこれは禁句だったか だが、口に出してはいないので大目にみることにしよう やれやれ、また会議か 時期的に今度は春休みか? 「あなたの席はここ一年ずっと涼宮さんの前でしたよね?」 急に何の脈絡もないような話を振ってきた古泉 「ああ、そうだ」 「それは恐らく、彼女が望んだからそうなったのです。涼宮さんはあなたのそばにいたいのです」 指で前髪を遊ばせながら古泉が語る 誉め言葉ではないがこういう仕草がこいつにはむかつくほど似合う 「単刀直入に言います。涼宮さんと付き合ってみてはいかがですか?」 いつもの糸のようなが見開かれ、その視線は真っすぐ俺の目を見ている どうしてお前の真面目な顔はこうも不気味なんだ 「お断わりだ、付き合う付き合わないは人に言われてどうこうの問題じゃないだろ」 俺がそう言うと古泉は口をへの字には曲げてはいたが、顔に笑みを戻した 「そうですね、失礼しました。それではあなたにお任せしますよ」 だから付き合わないと言っているだろう 任せるもへちまもあったもんじゃない 「たっだいま~!」 話が終わるのを見計らったようなタイミングでハルヒが長門をともない戻ってくる ハルヒは朝比奈さんの煎れたお茶を飲み干すとこう叫んだ 「我がSOS団は春休み、花見をするわよ!」 第1章
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涼宮ハルヒのSS 厳選名作集 長編 涼宮ハルヒの軌跡 ◇◇◇◇ それから一週間、俺たちはせこせこと文芸部の活動を行った。 長門はひたすら本を読み、読み終えた時点であらすじと感想を書く。そして、俺は基盤となるHPを作成しつつ、 そのあらすじ・感想をパソコン上で打ち直し、さらに案の定長門の簡潔すぎるor意味不明文字の羅列になっている感想を 現代人類が読めるようにする要約作業を行った。時間がなかったため、昼休みに集合――もともと長門は昼休みには 文芸部室にいるようになっていたが――し作業を続け、俺にいたっては、もらったHP作成フリーウェアが ある程度HTMLなる言語をかけないと思うように作れないことが発覚したため、とてもじゃないが学校内だけでは 作業が終わりそうになく、コンピ研から借りてきた電話帳50%増量みたいな分厚いHTML・CSS大全という参考書を片手に 自宅のパソコンでも延々と作成作業を続けていた。 今日も俺は昼休みに弁当箱を片手に、文芸部室へ向かおうとしていたんだが、背後から声をかけられて立ち止まる。 見れば、朝倉がいつものクラス委員スマイルで俺を手招きしていた。 俺は急ぐ足をそわそわさせながら、 「何だ? はっきり言っておくと、今めちゃくちゃ忙しいから世間話なら後にしてほしいんだが。 弁当ならさっき長門に渡しただろ?」 「そうじゃなくて一応確認しておきたくて。最近二人ともずっと旧館に閉じこもりっきりだけど、 何かやましいこととかしていないわよね?」 何だ、やましいことって。仮に相手が朝比奈さんなら何かの拍子に俺がケダモノと化ける可能性は0%ではなく、 それを必死に理性で年末ジャンボの一等当選確率よりも低いレベルまで下げることになるだろうが、 相手はあの色気ゼロの長門だぞ。言われるまでそんな考えすらなかったよ。俺が長門にいかがわしいことを する確率なんてインパール作戦が日本軍圧勝で大成功を収めるのより低い。 俺はパタパタと誤解もはなはだしいと手を振りながら、 「そんなんじゃねえよ。ただ文芸部の活動が忙しいだけだ。ちょっとまずいことになっていて、 ひょっとしたら廃部になるかもしれなくてな。すべては一週間後の職員会議で決定されるが、 それまでの間に文芸部らしい活動を見える形でアピールしないとならないんでね」 「ふーん、それでずっと授業中もずっと難しい顔して考え込んでいたのね」 朝倉はふうとため息をつく。何だ、こっそりこっちのことを監視でもしていたのか。それとも相変わらず背後で 爆睡を続けるハルヒの監視のついでに、そんな俺の姿が目に入ったのか。 ふと、俺は長門もまた授業を放棄して文芸部の活動をしているのかと不安になり、 「まさか何か不都合でも起きているのか? 長門がまた授業中もずっと読書していたりとか」 「ううん、それは大丈夫。長門さんは生徒指導以来まじめに授業を受けているわ。休み時間はずっと読書しているみたいだけど」 朝倉の回答に俺はほっと胸をなでおろした。またしても読書狂ぶりが授業放棄という行為を引き起こせば それこそ文芸部の活動に大きくマイナスとなることだろう。岡部の言っていた不良の溜まり場と化している 活動と同じ扱いをされるかも知れん。 「長門さん、文芸部だけじゃなくてちょっとしたわたしとの約束もあるのよ。でも最近そっちのほうは すっかりやる気をなくしちゃったみたいで、ぜんぜんダメ。はあ、どうしようかしら……」 よくわからんことを言い始める朝倉。約束? インターフェース同士の取り決めでもあるのか? それなら、長門が本来の役割を無視して、文芸部の活動に没頭していることになるが、あいつが数週間程度でそこまで 人間らしくなっているとは思えないな。もっとも、俺としては情報統合思念体の手先・長門有希なんかより 文芸部部長・長門有希の方がずっとしっくりくるんで、それはそれで喜ばしいことなんだが。 いつまでも親玉の操り人形のままっていうのもかわいそうだ。 続けて朝倉は、 「あと涼宮さんのことなんだけど、さすがにそろそろまずいと思うのよ。あなたの方からも何か言ってくれない? 聞いた話だと生徒指導も完全に無視して取り付く島もないらしいわ」 何とかしろといわれても困る。俺が言えることはひとつだけで、それがハルヒってやつだということぐらいだ。 放っておいても生活態度以外――特にテストについては全く問題ないだろうし。 しかし、本当になにやっているんだあいつは。そういや今日は珍しく腹をすかしているようで学食に足を運んでいるが。 そんな突き放した態度に、朝倉はほうっと疲れたようなため息をついて、 「わたしも何度か涼宮さんに言ってみたんだけど、なーんにも答えてくれないのよね。あの調子じゃ クラスのなかで完全に浮いちゃっているし、周りの人たちへの悪影響も出るから何とかしたいと思っているんだけど……」 うつむいたままの朝倉。ハルヒが朝倉を極端に警戒しているのは、情報統合思念体のインターフェースだからだろう。 うかつにしゃべってボロを出せば、冗談抜きでただでは済まない。そういうわけで朝倉がいくら言っても ハルヒがまともに相手にすることは絶対にないと断言できる。 ……そういやハルヒが朝倉を無視するのは俺の世界でも同じだったが、理由はなんだったんだろうな? 元々宇宙人~以外は話しかけるな、無駄だからとか言っていたからか? とにかくだ。 「俺が言ったって無駄だろうよ。あいつは超を何重に付けても足りないほどのマイペース主義者だ。 きっと今は学校以上に大切な何かがあるんだろうが、その内飽きてまた学校に来るようになるだろうよ」 俺がやれやれと首を振りながら言うと、 「だといいんだけど……」 困り顔のままの朝倉。おっとこれ以上議論している暇はないな。 俺は後ずさりするように朝倉から離れつつ、 「悪い。朝倉の気持ちもわからんでもないが、俺は俺でいっぱいいっぱいなんだ。すまんができることはない」 「うん。わかったわ。相談に乗ってくれてありがとう」 朝倉の返事を聞きつつ、俺は文芸部室へと走った。 「わりい、遅くなった」 俺が文芸部室に駆け込むと、すでに弁当を食べ終えて読書モードに突入していた長門がいた。 相変わらずの凄いペースで本のページをめくりまくっている。 この一週間で長門はすでに70冊目を読破していた。このペースならば、後一週間で100冊に到達できるだろう。 しかし、一日五冊以上のペースぐらいで読んでいて、なおかつ内容を全て把握しているんだから恐ろしい。 宇宙人印の記憶の書き込み性能・保持時間はとんでもないレベルだな。 俺はすでに机の上に置かれていた長門のあらすじ・感想メモを片手に持ってきていた弁当を食べつつ、 その内容をチェックしていく。以前とは違い、長門も努力してくれているのか、かなり読みやすいものを 書いてくれるようになってきていた。おかげで俺はそれをパソコンのメモ帳に書き起こす程度の作業しか発生せず、 本筋のHP作成に時間が割けるようになった。 俺は飲み込むように弁当を平らげ――すまんオフクロ――すぐにコンピ研寄贈のパソコンの前に座り、 テキストファイルに作業進捗状況を記した。そして、続いて長門のあらすじ・感想メモをだだだっと ブラインドタッチで打ち込みまくる。やれやれ、すっかりキーボード見なくても文字が打てるようになってしまったな。 ちょうど昨日自宅で作成した部分がそれなりに見栄えのあるものになってきたので、 「おい、ちょっと見てくれないか? 評価を聞いておきたいんだ」 そう言って長門にできあがった部分を見せてみた。 長門はディスプレイをのぞき込んでしばらくトップページとメインである本の紹介部分――ただし実際の感想は まだ載せてなく空っぽの状態だが――を確認していく。 やがて確認し終えたのか、ディスプレイから目を離し、 「問題なと思う。ただ微調整が必要な箇所が見受けられる――」 そう言って長門は人間的視点の癖のような話を交えながら、俺の作成したHPの微調整指示を出してきた。 俺は長門のアドバイスになるほどと頷きつつ、その通りに修正していく。 それを終えてできあがったものは、パーツは何も変わっていないのに、何倍にも見やすくわかりやすいものに 化けていた。何と言うことだ。あれだけの修正でここまで外観が変わるとは。トップページの文芸部という文字や メインコンテンツである『長門有希の100冊』へのリンクも思わず押したくなるような感じがしてくる。 とはいえ完成にはまだほど遠い状態だ。肝心の北高文芸部についての説明もないし、部員や活動内容の紹介もない。 これでは文芸部のHPじゃなくて、長門が立ち上げた個人のHP状態だ。 アドバイスを終えた長門はまた自分の席に戻って読書の再開を――と思いきやこちらに顔を向け、 「問題が発生したことを思い出した」 「ん、なんだ?」 長門が自分から問題発生というなんて珍しい。というかもの凄い問題じゃないかと身震いまでしてくる。 すっと長門は本棚の方を指差し、 「ここに置いてある本で、HPに載せることに対し適切なものは全て読み終えてしまった。図書室も大体同じ状況。 このままでは目標である100冊に到達する前に、枯渇状態に陥ってしまうのは確実」 そう淡々と言う。何と、ついにあるものを読み尽くしてしまったか。いや、実際にはまだまだ本はあるんだが、 変な専門書や参考書ばかりでこんなものの感想・あらすじを載せるのは何か違うだろう。 今までずっとフィクションで固めてきたしな。 さてさて、なら新たな供給源を探さなければならないが…… ――って他にないか。ちょうど明日は土曜日だしな。 俺は長門の方に寄って、 「なら明日市内の図書館に行ってみないか? それなりに大きいところだから、部室や図書室とは比べものにならない量の本があるぞ」 その提案に長門は珍しく即答するように大きく頷いた。そして、その目が期待にてかてか光っているように 見えたのは決して俺の錯覚ではないだろう。 ◇◇◇◇ 翌日。土曜日の午前中に俺たちはいつもの――SOS団の集合場所になっている駅前にやって来ていた。 長門のマンションまで出迎えるかとも思ったが、こっちでの集合の方が効率が良いと長門に言われてここに集合となっている。 俺が予定時刻の15分前に到着してみれば、すでに長門がいつものセーラ服姿で直立不動のまま立っていた。 「すまん、またせちまったか?」 「…………」 俺の問いかけに長門は何も答えない。むしろ、早く図書館とやらに連れて行けというオーラをむんむんと発揮していた。 そんなわけで挨拶や雑談はすっ飛ばしてとっとと目的地に向かうことにする。ここからなら、歩いてそう遠くはない。 十分程度でたどり着けるだろう。 しかし、二人で黙ったまま歩くというのもなんつーか背中がむずむずしてくる気分になるので、 歩きつつ適当な話題を振ってみることにする。 「お前、私服持っていないのか?」 「持っているが、着てくる必要性を感じなかった」 「休みの日に出かけたりしないのか?」 「その必要はない。今日のように必要性が発生した場合以外は外を出歩く意味がないと判断している」 「今、楽しいか?」 「楽しいという意味がわからないが、自らが遂行すべき事項については自分の能力の大半を費やすものを持ち合わせている」 意外と会話が成立してしまったことに驚いてしまった。そういや、俺の世界でもハルヒの不思議探索で 長門と一緒だったときに同じようなことを聞いた憶えがあったが全部無言だったっけな。 そこでふと気がつく。HP作成に夢中で長門の内面的変化までいちいち考察している暇はなかったが、 改めて見てみると、文芸部に入って以降長門は急激に変化を見せているようだ。相変わらずの無口・無表情だが 俺の長門感情探知レーダはばっちりその自己主張や感情表現の激しい変化を捉えていた。 まさか完全に人形状態だったこいつが、この数週間でここまでの変化を遂げるとは。 俺の世界の冬バージョン長門と同じレベルにまで達しているんじゃないか? それはそれでいきなり世界を 改変されてしまいそうで怖いが。 そんなやり取りをしている間に、俺たちは図書館へとたどり着く。この世界でも同じように 駅前再開発で立てられた新築の図書館だ。入ったのはSOS団の活動をさぼったときぐらいだが。 俺たちはそのまま図書館に入っていく。休日ということもあるだろうが、結構多くの人でごった返していた。 机はほとんど埋まり、ソファーも大半が占拠されている状態だ。 その様子を見回しながら、 「さて、じゃあ目的の本探しと行きますか。おもしろそうなやつを片っ端から探して来てくれ。 その間に俺が貸し出しカードを作って持って帰れるように――おい長門?」 俺が今後の予定を説明しているのを全く無視している長門に気がつく。見れば、直立不動のまま 表情こそないがもの凄い今までに感じたことのないすさまじい恍惚としたオーラを噴出させていた。 こんな長門は俺の世界でも見たことないぞ。もしかして本の山に囲まれて酔ってしまったのか? とりあえず二、三度長門の顔の前で手を振ってみるが全く反応なし。ダメだこりゃ。 今、紙パックジュースに突き刺したストローを鼻に突っ込んでも、きっとそのまま飲み干すまでこの状態を続けるぞ。 「おい長門。楽しいのは十分にわかったから、とりあえず今は目的を果たそうぜ。このまま突っ立っていたって仕方がないだろ?」 そう肩を揺さぶってみると、ようやく本世界からご帰還した様子で、辺りをきょろきょろと見回し、 「……内部エラーが多発していた。謝罪する」 そう独り言のようなことを良いながら、ふらふらと本棚の方に向かって歩き出した。あんな状態で大丈夫なのか? とにかく本選びは長門に任せておくしかないから、俺は今の内に貸し出しカードの申請をすませることにする。 近くの受付所に行き、最近読書ブームでも起きているのか数人ならんでいたためその最後尾にならんでいたんだが…… 「……ん?」 思わず驚愕の声を上げた。フロアの少し離れたところをハルヒがづかづかと歩いていくのが目にとまったからだ。 こんなところで何やっているんだあいつ? 受付の方は何やらトラブっているらしく俺の順番が回ってくるのにしばらく時間がかかりそうなため 一旦列から離脱しハルヒの姿を追いかけることにした。いい加減、ここ最近何をやっているのか確認したかったし、 文芸部員という肩書きがすっかりお似合いになってしまった長門だったので忘れかけていたが 仮にも情報統合思念体のインターフェースと一緒に図書館に来ているのだ。注意ぐらいはしておいた方がいい。 俺はハルヒの歩いていった方に向かったが、残念ながらすぐに見失ってしまった。来館している人間も多いし、 こりゃ探すのには一苦労しそうだな。 だが、意外にハルヒの再発見は早かった。本棚の隙間を縫うようにフロアの隅へと移動している。 俺はすぐにその姿を追った。やがて辞典が大量にならび、まるでここだけ閉鎖空間といわんばかりに 人一人いない過疎地域へと入る。明かりもちょうど本棚の陰に隠れてしまい、不気味な雰囲気に包まれていた。 しかし、ここに来てまたしてもハルヒの姿を見失ってしまう。 俺は本棚の間を縫うように歩いて、ハルヒの姿を探したが、 「――ぶっ!」 突然、口を抑えられ本棚の脇に引き込まれてしまった。一瞬、恐怖感で身が岩のように硬直してしまうが、 恐る恐る引き込んだ奴の姿を確認しようと振り返ってみれば、 「……静かにしてなさい」 そこにはハルヒがいた。俺の口を抑え、さらに胸元を腕でがっしりつかんで俺の身体を固定している。 口がふさがっているせいで文句も言えない状態だったが、とにかく黙っているようにと、かなり切羽詰った声を あげてくるのを聞いて抵抗するのを止めた。どうやらハルヒが抱えているという問題が今発生している真っ最中のようだ。 その状態が数分続いたが、やがてハルヒは俺の拘束状態は維持しつつ、本棚の陰から顔を出し周囲の様子を伺い始めた。 すぐに問題なしが確認できたらしくふうっとため息をつくと、ハルヒは俺を解放し、 「全く読書なんてこれっぽっちも興味のなさそうなあんたが、こんなところで何やっているのよ。 こっちもいろいろ大変なんだから図書館にくるならそう言いなさい」 無茶苦茶を言ってきやがった。大体、お前の最近の行動はさっぱり伝えられていないから、 いちいちそんなことを考えていられるか。 「で、いったい何事なんだ。いい加減そろそろ教えてくれてもいいんじゃないか? 今みたいに 一歩間違えば――何があったのか知らんが、そういう事態を回避するためにも情報共有は必要だろ?」 俺の指摘にハルヒはしばらく黙ったまま考え込んでいたが、 「ダメよ。言えないわ。言ったらあんただけじゃなくて学校まで巻き込んじゃう可能性があるから」 「……なんだそりゃ」 ハルヒの言葉に、俺は驚く。うかつに口外すれば、また機関を作った世界のように学校が攻撃に さらされる可能性でもあるというのか。一体、俺の知らないところで何が起こっているんだよ。 おっとだったら今ここに長門をつれてきているのは余計にまずいことになるな。 万一、ハルヒが能力を使わなければならない事態に陥れば、真っ先に情報統合思念体に伝わる可能性がある。 「先に言っておくが、今日は長門――インターフェースといっしょにここにきているんだ。 だから、あまり派手なことは起こさないほうがいいぞ。すぐにばれるだろうからな」 「……あんた、休日にインターフェースと一緒にのこのこデート中ってわけ? 全くいいご身分ね」 むかつく言い方だが、これがハルヒだ。そういやここ一ヶ月近くろくに話もしていなかったから、 ハルヒ節が懐かしく感じてしまうよ。 「でも確かにまずいわね……ここで連中と事を構えるわけには行かないってことか……。場所移動が必要ね」 そうあごに手を当てて思案顔になるハルヒ。 だが、すぐにぴんと指を立てると、 「とにかく! 今あんたとしゃべっていること事態が危ないのよ。とりあえず、あたしは自分の目的に集中したい。 あと、今あたしとここで会ったことは忘れなさい。絶対に誰にも言わないこと。いいわね!」 そう一方的に告げると、ハルヒは図書館の出口へ小走りで向かっていった。何なんだ、一体。 だが、学校が巻き込まれる可能性がある――この言葉だけで、あの機関による大量虐殺の現場が 脳内にフラッシュして思わず俺は目頭を抑えた。ハルヒの抱えている問題が他者――俺にでさえも漏れると 同様の事態が起きるというなら、俺は静観しておいたほうがいい。あんな地獄絵図はもう二度と見たくないからな。 「……どうかしたの?」 突如かけられた声に、俺はうわあと叫びそうになるが、のど元で無理やりそいつを飲み込んだ。 見れば、どこから生えてきたのか、すぐそばに長門の姿がある。その手にはすでに数冊の本が載せられていた。 俺は何とか平静さを保ちつつ、 「ちょっとカードを作るのに時間がかかるみたいなんでな。何か掘り出し物でもないかうろついていたんだよ。 そっちはどうなんだ? 大体選び終わったのか?」 「まだ探索を継続している」 長門はそういうと本を抱えたまま、また本棚の森に入っていった。やれやれ、どうやらハルヒといっしょのところは 見られなかったみたいだな。特にやましいことがあるわけじゃないが、ハルヒが臨戦体制である以上、 その姿を見られないことに越したことはない。 その後、長門は20冊ぐらい集め、俺が作った貸し出しカードでそれらを持ち帰った。 ◇◇◇◇ 運命の職員会議まであと二日と迫った日の放課後。俺たちは最後の追い込み作業に没頭していた。 長門はすでに95冊読破し、俺のHP作成もほとんど完成している。残っているのは、長門が書いたあらすじ・感想を HPのコンテンツにアップしていくだけだ。まだネット上での公開まではしていないが。この調子なら明日には完成となるだろう。 予定よりもせっぱ詰まった状況になってしまい、世間へのアピールはほとんどできなかったが、 岡部経由でこれを教師たちへ示すことはできる。そうすれば、文芸部はきちんとした活動をしているという証明になり、 廃部の話もおじゃんになってくれるはずだ。たった二週間という短い期間だったが、それだけの価値のあるものを作れたと自負している。 とはいえ、ここ最近いろいろありすぎた俺でももうへとへとの状態だ。頭の中は授業内容を格納する領域を 破棄してHTMLの知識で埋めたし、何よりキーボードを延々と打ちまくっているおかげで、腕も痛いし肩もこった。 早いところ終わらして、マッサージか温泉にでも行きたい気分だね。 一方の長門は、全く疲労を感じさせていないどころか読めば読むほど生き生きとしてきているのがはっきりとわかる。 特に好みにあった小説に出会ったときと来たら、顔には出さないが恍惚のオーラを全身から大量放出しているのが はっきりと認識できるほどだ。本当に鼻にストローでも突っ込んでやろうか。いや冗談だけど。 そんなことをつらつらと考えつつ、ひたすらキーボードを打ち続ける。 ふと、ここで意味のわからない表現にぶち当たり、 「おい長門。これはどういう意味なんだ?」 「これは……」 そんな感じで細かい意識あわせをやっているときだった。 ……突然、文芸部室の出入り口の扉がまるでサスペンスかホラー映画のように軋んだ音を立てながら開き始める。 あまりに前触れもなく唐突だったので俺は一瞬ぎょっとしてしまうが、次に登場したものにほっと安堵――はできなかった。 そこから部室内をのぞき込むように仏頂面+半目+ジト目+への文字口と器用な顔を作り上げたハルヒが出現したのだ。 背後から不気味な迫力を持ったオーラ――長門の感情表現とはまた別物――をこちらに流れ込ましてくる。なんなんだ一体。 やがてハルヒはその表情を維持したまま、俺の方に手招きを始めた。どうやら話があるから来いということらしい。 今日も学校に来ていなかったはずだが、放課後になってわざわざセーラ服まで着込んで来たとなるとそれなりの用事だと推測できる。 やれやれ、文芸部存続大作戦の追い込み時期にやっかいごとを増やして欲しくはないんだが…… 「すまんがちょっと行ってくる。今の話の続きは後にして、読書を続けておいてくれ」 「わかった」 そう長門と言葉を交わすと、ハルヒの元へと向かった。 連れて行かれたのは、すっかり秘密の話をする場所になってしまった非常階段の踊り場だ。ここには滅多に人も来ないから ひそひそ話をするにはうってつけだしな。 「で、なんだ用って」 俺の言葉に、ハルヒはむすーっとした表情で腕を組み、 「全く人が必死に戦っていたってのに、まさか文芸部なんていう地味な部活で延々と読書していたとは思わなかったわよ。 少しは人も気持ちも考えて欲しいわね」 「無茶苦茶を言うな。大体お前が何をやっているのかさっぱり教えてくれなかったじゃねえか。 これじゃあ気の使いようもねえよ」 そう俺が抗議の声を上げる。 と、ハルヒはふうっと一息つくと、 「ま、ようやくそんな状態も終わったから良いんだけどね」 そう言って安堵の笑みを浮かべた。自己完結するのは結構だが、協力者である俺にも情報開示を求めたいね。 まあ、文芸部活動に没頭していた俺が言うのもなんだが。 俺はハルヒに視線を向け、 「いい加減、そろそろ何をやっていたのか教えて欲しいんだが」 「あたしにちょっかいかけてきた連中を残らずぶっ潰していたのよ」 その俺の問いかけに、ハルヒは一言だけ返してきた。それだと意味がわからんぞ。どういうことだ? ハルヒは理解できない俺に、憶えていないの?と言いたげな表情を見せつつ、 「前にも言ったけどさ、高校時代になるとどこからか――多分情報統合思念体のインターフェースとかからでしょうけど、 あたしの話を聞きつけた連中がちょっかい出してくるようになるのよ。そいつらを片っ端からたたきつぶしてきたってわけ」 その言葉に、俺はああと思い出した。そういや前にそんな話を聞かされた憶えがある。だが、ここの前の二つの世界―― 機関と未来人のいる世界ではそんなことはなかったが……って、ああそうだったな。 「気がついたわね。ひさびさだったからすっかり忘れていたけど、あんたに超能力者や未来人の存在にについて 教えてもらうまではいつもこんな感じだったのよ。小規模組織があっちこっちに乱立しまくって、あたしにちょっかいかけまくる。 全く鬱陶しくてたまらないわ。これだけでも、古泉くんやみくるちゃんたちの存在がありがたくなるわね」 ハルヒは疲れたというポーズなのか、自分の肩をもみほぐし始める。 俺の世界でも古泉がちらりと水面下では機関は他組織と血で血を洗う殲滅戦をやっていたとか言っていたし、 前回の未来人オンリーの世界では、朝比奈さんの属する未来人連中が自分たちに都合の悪い組織を片っ端から潰して廻っていたようだ。 そのことを考えると、超能力者・未来人の存在はこういった混乱を沈め、力の配分を行える存在と言うことになる。 やはりあの二つは、ハルヒという存在を支える上で絶対になくてはならないんだと再認識させられるな。 「俺に黙っていたのは、万一俺とお前のつながりを知られると、俺が巻き込まれたりするかも知れなかったからなのか?」 「そうよ。あんただけじゃなくて、北高生徒も巻き込まれる可能性があったからできるだけ、周囲との接触を断って あくまでもあたし個人だけで敵と戦っていたのよ。おかげで、向こうもあたしを集中的に狙ってきたわ。 前々回の無差別襲撃の二の舞はごめんだったしね」 図書館で俺が思っていたことと同じことを口にするハルヒ。やっぱり沢山の修羅場を乗り越えたハルヒでも ああいうことは慣れていないようだ。まあ、慣れてしまったら人間終わりだと思うが。 ん、そうなるともうハルヒをつけねらう連中は完全にいなくなったと考えて良いのか? その指摘にハルヒは小難しい顔つきで、 「目立って動く連中は残らず潰したし、当分の間は実力行使ができる組織はないと思って良い。でも、ああいう連中は まるでハエか蚊のように湧いてくるから、その度に対処していかないとならないけどね」 てことは、まだまだそう言った抗争は続くかも知れないって事かよ。たまらんな、そりゃ。 と、ここで文芸部活動の佳境について思い出し、 「現状についてはわかったよ。で、すまんがそろそろ部室に戻って良いか? これでもまじめに文芸部活動を やっていたから戻らないとまずいんだ。こっちも色々あって今が最大の修羅場だからな」 「本題はこれからよ」 ハルヒはそう言って俺の足を止めた。まだ何か言うことがあるのか? 続ける。 「文芸部にいた女の子、あれ情報統合思念体のインターフェースよね? あんたあの子を使って何かやった?」 「やったって何をだよ? 言っておくがやましいことなんて、これっぽっちもないからな」 俺の反応に、ハルヒは心底軽蔑したまなざしを向けてきて、 「なんでいきなりそっちの話になるのよ、このスケベ」 お前の説明不足な言い方だとそう言う意味にしかとれんぞ。もっと詳細かつわかりやすく言ってくれよ。 ハルヒはあごに手を当ててしばし思案してから、 「順を追って話すわ。はっきり言っておくけど、あたしはこの一週間憶えているだけでも三回のミスをやらかしているのよ」 「そりゃいくらお前がいろんな意味でできる人間だからといって、ノーミスで何もかもできるほど万能じゃないのはわかっているぞ」 「そうじゃなくて、致命的なミスってことよ。それこそ情報統合思念体があたしの能力自覚に気が付いても良いようなレベルのね。 でも、見てのとおり情報統合思念体はなんの行動も起こしていない。おかしいと思わない?」 その三回のミスって言うのがどの程度のものなのか具体的に教えてもらえないとわからんが、ハルヒが自分で認識できるほどの ものなら確かに奴らがハルヒが力を自覚しているってことに勘づいてもおかしくなさそうだ。しかし、今俺たちのいる世界は 夕焼けに染まってきている透き通った空が広がっているのを見ればわかるように、通常運行を続けている。確かに妙な話だな。 ハルヒはぐっと顔を俺に近づけてきて、 「でしょ? だから、あんたが一緒にいるインターフェースに何かやらかしてそれを阻止してくれたんじゃないかって思ったのよ。 あの子、どうやらあたしの監視役を負かされているみたいだし。でもその調子じゃ、本当にただ文芸活動をしていただけっぽいわね」 「悪かったな。俺は長門に何か特別なことをやった憶えはねえよ。一緒に本を読んで、文芸部のHP立ち上げに奔走していただけだ」 その俺の返答にハルヒはうーんと首をかしげる。よくわからんが、情報統合思念体が別の何かに没頭して忘れていたんじゃないか? 連中だってずっとハルヒだけを見ている訳じゃないだろ。 「まあその可能性も十分にあるんだけどね……こんなことは今回が初めてだったから、何が違うんだろって考えているのよ。 ひょっとしたら、情報統合思念体を出し抜けるヒントが隠されているかも知れないから」 ハルヒの言うとおりだ。連中の目をごまかせる手段があるなら、利用しない手はない。うまくいけば、この世界でも ずっと平穏無事に生きていけるようになるかも知れないからな。古泉や朝比奈さんがいないのはかなりさびしいが。 ここでもう一度文芸部活動が修羅場なのを思い出した俺は、 「とにかく俺は何もしていない。それは確かだ。で、そろそろ戻らないとならないんだが」 「全くすっかり気分は文芸部員ね。本来の目的を忘れていないでしょうね? まあいいわよ。特に有益な情報はなさそうだし」 腕を組んで呆れるハルヒ。おい、それは前回書道部に没頭しているお前に散々言った言葉だぞ。 そんなことを心の中で愚痴りながら、俺はそそくさと文芸部室へと戻った。 ふと、部室に戻る途中で朝倉に出くわす。見れば旧館から出てきたようだが、こいつなんか部活に入っていたっけ? 朝倉は夕日で赤く染まった顔にいつもの柔らかな笑みを浮かべて、 「あらまだいたんだ。そんなに文芸部って大変なの?」 「もうすぐ廃部かどうかの職員会議があるんでな。それまでに活動を形にして残しておく必要があるんだよ。 今はちょうどその作業の修羅場中って訳だ」 俺の返答に朝倉はふーんとだけ返してくる。 「そういや朝倉は何か部活に入っていたんだっけ? お前こそこんなところで何やっているんだ?」 「ちょっと長門さんに話があったから寄っただけよ。もう帰るわ」 そう言うと、朝倉は早足で昇降口へと向かって言った。長門に用? まさかハルヒが犯したミスってやつの件じゃないだろうな? 一瞬、人類滅亡のスイッチが入ったのではと身震いしたが、そうならとっくに実行に移されているだろうと考え直す。 俺は文芸部室まで戻ると、そこでは相変わらず読書に没頭している長門の姿があった。朝倉との話で何か変わった様子はない。 ただの世間話だったのかも知れないな。明日の弁当のメニュー確認とか。 見れば、ハルヒと話している間に一冊の本を読み終えたらしく、新たなあらすじ・感想メモがパソコンの前に置かれていた。 俺は腕まくりをしつつ、HP作成作業を再開した。 ……後で俺はこの時ハルヒの話に加えて朝倉がなんでわざわざ部室まで足を運んでいたのか、 もっと真剣に考えておけば良かったと散々後悔することになる。 ◇◇◇◇ 「ほーむぺーじ?」 「そうです。俺たち――文芸部が作ってインターネットで公開しているんです」 俺はそういいながら、HPの一部を印刷した紙を岡部に渡す。職員室からインターネットが出来るかどうかわからなかったため、 家でHPを印刷してきたおいたのだ。 文芸部の命運を決める職員会議が明日に迫る中、俺たちはようやくHPの完成にこぎつけていた。 無論、ついさっきインターネット上で公開したばかりなので、カウンターは限りなくゼロに近い状態だが。 あとは岡部経由でこの資料を職員会議で提示し、文芸部の活動実態を示すだけだ。これを見せれば、 どれだけ活動実態があるか、どんなバカが見てもわかるだろう。それを確信できるほどのものを作ったつもりだ。 「なるほど、HPか。考えたな。確かにこれだけのものを公開しているなら文芸部の活動実態は認められるかもしれない」 岡部は俺の渡した資料をぱらぱらとめくりながら言った。 「これだけのものがあれば十分でしょう? もう廃部なんて言わせませんよ」 俺はそう念を押しておく。 岡部はぱんとひざをたたくと、 「よし、お前たちの意欲はよく伝わった。あとは俺が責任を持って職員会議で伝える。ただ、この二週間の間で 先生方の間でもかなり意識が変わっている可能性もあるから、確実なことは言えない。だが、出来る限りの事はするつもりだ」 「よろしくお願いします」 俺が岡部に頭を下げると、長門もそれを真似して小さく数ミリだけ頭を前に倒すしぐさを見せた。 「やれやれ、やっと終わったな。さすがにくたびれたよ」 「…………」 すっかりこった状態が日常化した肩をもみつつ、俺たちは部室へ戻ろうと旧館の階段を歩いていた。 長門も無言・無表情のままだったが、その感情表現オーラは達成感に満ちていた。こいつも何だかんだで、 やり遂げたという実感があるのだろう。 あとは明日の職員会議に賭けるだけだ。きっといい返事が岡部から返ってくる。それだけの苦労はしたつもりだし、 これで結局廃部なんていうオチになったら、教師全員を末代まで恨んでやる。 そんなことを考えながら部室に戻った。机の上に山積みされている本、長門が書き記したメモの束、旧型ながら この二週間フル稼働してくれたパソコン……終わった達成感に身が支配されているためか、それら一つ一つを 見渡していくと思わず目頭が熱くなってしまいそうだった。やれやれ、俺らしくもないな。 その後、俺たちは部室内の片づけを始める。図書室で借りてきたものと、市内の図書館から借りてきたものを 仕分けして返却の準備をしたり、長門が書いたメモをホッチキスで閉じて保存できるようにしたりなどなど。 たまにネット上に上げられている文芸部のHP――特に『長門有希の100冊』のページを見て、ニヤニヤしていたりしたが。 その作業が終わるころにはすっかり日も傾き、部室内は夕日の明かりで真っ赤に染まっていた。 さて、本はぼちぼち返していくとして今日はこれくらいでお開きだな。 「今日はそろそろ帰ろうぜ。すべては明日の朝に決まる。後は腹をくくって待つしかない」 「わかった」 そう長門と言葉を交わすと、俺たちは帰り支度を始めた。 俺は身支度を終えると一足先に部室から出ようとして―― 「待って」 唐突に長門が俺を呼び止めた。振り返れば、帰り支度万全の状態の長門がこちらをじっと見つめている。 そして、こう言った。 「これからわたしの家に来てほしい。話したいことがある」 それを聞いた俺は、いよいよかと覚悟を決めた。おそらく自分が宇宙人であることのカミングアウトだろう。 しかし、なぜこのタイミング? 明日の文芸部の命運が決まった後でもいいと思うが…… ◇◇◇◇ 俺たちは薄暗くなりつつある道をゆっくりと歩いていた。お互いに特に話題を振ることもなく、ただ黙って足を動かしていく。 長門のマンションはすぐ目の前に迫りつつあった。 長門が自らを宇宙人であるということ。 遅かれ早かれ告白される日が来ると思っていた。長門と接触している以上、そう言う流れになるのが自然だからな。 朝比奈さん(大)的に言えば『既定事項です』ってことだ。 だが、どうしてこのタイミングなのだろうか。俺の世界では、長門は俺がハルヒに尋常ならない影響を与えていることを 知らせることと同時に、命を狙われる可能性があるから話したように思える。だが、ここ一ヶ月近く、俺とハルヒは ろくに会話すらしていない。その理由はこないだハルヒから聞いた話で把握済みだが、長門がそんなことを知っているわけもなく。 ただ、ハルヒが一昨日・昨日と普通に学校に来だしてからは、他愛のない会話とかはするようになっているが、 SOS団みたいな強烈極まりないものを作ることに荷担したりはしていない。 とまあ歩きながら考えていたが、やがて思考の袋小路にはまって止めてしまった。どのみちもう少ししたら 長門自身から話されるんだろうから、俺はそれを素直に聞くだけさ。ただし、もちろん俺が長門のトンデモ話を軽々しく 受け入れてしまったら人類滅亡フラグが立ってしまう。古泉・朝倉との同時カミングアウトの時と同じように、 できるだけ一般人かつ初耳で自然な反応をしなければならん。全くクタクタだって言うのに勘弁して欲しいね。 さて、そんなことを考えている間に長門のマンションにたどり着いた。マンション入り口のロックを解除し、 そのまま二人でエレベータに乗る。そうだ、唐突の誘いのはずなのに黙って付いてきているだけなんてであまりに素直すぎるな。 ここらでワンクッション入れておくべきだろう。 「なあ長門。いちいちお前の家まで話さないとならないことってなんだ? 別に部室なら他の誰にも話を聞かれることもないと思うが」 「……不確定要素の発生を避けるため。わたしの家ならば、それが発生する確率は限りなくゼロになる」 長門は淡々と返してきた。ただきっちりと会話が成立していることが、俺の世界、またはこの世界でも初めて長門と 接触したときとは大きな違いだ。当時のあいつなら何も答えることはなかっただろう。 程なくして、目的の階でエレベータが停止し、そこから廊下を伝って長門の部屋708号室にたどり着く。 この世界でも部屋の位置や外観なんかは変わっていないんだな。多分、部屋の中も俺の知っているあの殺風景な―― 「うわっ」 俺は玄関から長門の部屋に上がって、仰天の声を上げてしまった。てっきり何もなくてまるで広めの独房かなにかと間違えそうな 部屋だとすり込まれていたから無理もない。 部屋の中には無造作に床に置かれた本が山々――山脈と言っていい状態になっていた。収納という概念を知らないのか 本棚は一つもなく全てながら読みするベッドの枕元に置かれた漫画の山状態と化している。 これは予想外だった。俺の世界の長門も読書狂だったが、部屋の中にはSOS団結成一周年記念になっても 本がこんな状態で積み上げられてはいなかった。 ふと思う。この長門は文芸部活動ですっかり変わってしまった。もちろん、朝やって来て『ヤッホーエブリバディ?』とか 言い出しているわけではなく、いつもの無表情のままだが感情オーラどころか言葉の出し方も随分変化している。 しかし、それは俺がよく知る長門とはまた別物の文芸少女の姿だった。この一ヶ月ぐらいで長門は、俺の世界の長門を飛び越え 俺の知らない別物になってしまっていたんだ。少々文芸活動に没頭させすぎてしまったか? だが、一方でそれは決して悪いことじゃないはずだ。あの情報統合思念体のインターフェースとしてただ命令通り動く 人形状態ではなくなったと言うことなんだから。ひょっとしたら、朝倉レベルに近づきつつあるのかも知れない。 長門はしばらく俺が座るスペースを確保するべく、てきぱきと本山脈の大移動を行っていたが、やがて部屋の中心部に 平野部を作り出すとそこにちょこんと正座した。俺もそれに倣って、正面にあぐらをかいて座る。 「お茶を出そうと思ったが、この状況ではできなかった」 「ああ、それは別にかまわねえよ」 長門の言葉に、そういや以前の時はひたすらお茶をすすって長門の話を待っていたっけ、と懐かしい気分になる。 さてと。長門の急激な変化は興味深いが、今はこいつの話に集中することにしよう。 おっとただ黙っているのは不自然だな。こっちから話を振るか。 「で、学校ではできない話って言うのはなんなんだ?」 俺の言葉に、長門は色の薄い唇をゆっくりと開いた。 「涼宮ハルヒのこと。それと、わたしのこと。それをあなたに教えておく」 長門のしゃべり方が俺の世界の時と違って滑りが良いのも、文芸部活動の影響だろう。あの時感じたこいつの話し方に対する 不満は今の俺の心に浮かんでこなかった。慣れたって言うのも当然あるだろうが。 長門は続ける。言葉と同時にはき出される感情ははっきりと困ったような、または躊躇しているようなものだと受け取れた、 「うまく言語化出来ない。情報の伝達に齟齬が発生するかも知れない。でも聞いて」 それ以降の話は以前に聞かされたのとほとんど同じだった。 ――涼宮ハルヒと自分は、文字通り純粋な意味で他の大多数の普遍的人間とは異なる存在。 ――この銀河を統括する情報統合思念体によって造られた対有機生命体。 ――わたしは生み出されてからこの三年間ずっと涼宮ハルヒの監視を行い、入手した情報を情報統合思念体へ報告していた。 ――だが、ここ最近になって無視できないイレギュラー因子が発生した。それがあなた。涼宮ハルヒに多大な影響を与える可能性がある。 正直この話には違和感を憶えた。さっきも言ったが、俺とハルヒはこの一ヶ月ぐらいろくに口も聞いていない。 なのになんでそんな扱いを受けているんだ? だが、途中で話の腰を折るとボロを出しかねないと思った俺は、とりあえず長門のマシンガン説明トークに 耳を傾けて置くことにした。質問は終わってから話が終わってからした方がいい。 情報統合思念体とは。 俺の世界の時と機関を造った世界で朝倉から受けたものと全く変わらない説明が始まる。さすがに三度目となると、 聞き慣れて憶えやすくなっていた。 続いて三年前のハルヒの情報爆発について。そして、ハルヒが情報統合思念体にとって自律進化の可能性を秘めていることについて。 これも以前聞いたものと代わりがない。ただ当時との決定的な差はある。それはこの世界ではその話は ハルヒが仕掛けたディスインフォメーションだったのを知っていることだ。それを話したら長門はどんな顔をするんだろうか。 見てみたい気もするが、そんな個人的願望で世界を滅亡させてしまうわけにも行かない。 ほどなくして話が終わり、長門はビデオの静止ボタンを押したように身じろぎ一つしなくなった。 どうやらこっからは俺のターンのようだな。もちろん、最初に返すのは以前と同じ言葉だ。 「待ってくれ。正直に言おう。さっぱりわからない。SF小説を読みすぎて現実と仮想世界がごっちゃになっていないか?」 せっかくだから+αしておくことにした。そんな回答をする俺に長門は、 「信じて」 そうメガネのレンズを通して真摯なまなざしで言ってきた。その視線には何というか――どうしても 俺に理解させなければならないという意思がひしひしと感じられた。なんなんだろう。どうして俺にそこまで伝えようとする? まあ、はっきり言えば、お前の正体はしっかりと脳内に焼き印のように刻み込まれているから、 わかった信じると答えたくはなるがそうもいかん。全く面倒だな、やれやれ。 「仮にその何とか超生命体……だっけか? それとお前さんがその使い魔みたいな存在であることを信じたとしよう。 何で俺に言うんだ? どうして正体を俺に明かす?」 「あなたは涼宮ハルヒによって選ばれた。無意識・意識的にかかわらず、彼女の情報は周辺環境への 絶対的な情報として環境に及ぼす。あなたが選ばれたのは必ず理由があるはず」 長門の言葉に、俺はせっかくだから確認しておくかと思い、 「念のために――別にお前の話を信じた訳じゃないぞ? 念のためにだ。どうしてハルヒが俺を選んだと判断したんだ? いっちゃなんだが、確かにハルヒとはちょこちょと話をしている。しかし、ここ最近はろくに口もきいていない状態だったんだ。 何しろ、あいつが学校に来ないんだからな。仲良くしようもないさ。その間にこっそり会っていたとかもない。 こっちは文芸部活動でいっぱいいっぱいだったんだし。それなのに、どうしてだ?」 俺の質問に、長門は無色透明のガスでも詰まっているんじゃないかと思いたくなるほど透き通った瞳でこちらを見つめ、 「涼宮ハルヒが中学生の時、あなたとは何の接点もなかった。だが、高校入学後あなたと話しているときの涼宮ハルヒは 全く身体的緊張感、及び警戒感を持たずにいる。これは有機生命体のコミュニケーション発展過程に置いて あり得ない事象と考えられる。ならば、涼宮ハルヒの情報操作・構築・創造能力において、あなたが涼宮ハルヒの影響下に 置かれたと考えるしかない」 ……なるほどな。接点がなかったのに、突然あの気難しいハルヒがぺらぺらとしゃべっている相手、 付き合いがあったわけでもないのにそんなことになるのは不自然だ。だからハルヒが俺を選んで何らかの変態パワーで 俺をどうこうしたって考えているわけだな。接点がないのが逆に際だたせてしまうとは、その辺りをもうちょっと ハルヒとどうするか詰めておくべきだったのかも知れない。 実際には、この世界のハルヒとも結構長い付き合いになっているからだったりするだけなんだが。何だかんだで、 俺の世界のハルヒ以上に苦楽を共にしているような気がするし。苦ばっかりだけど。 ってことは――やっぱり俺は命を狙われる可能性があるってことか? 相手はやっぱり朝倉か? 長門はそんな複雑な心境を悟ることもなく、 「情報統合思念体の意識は統一されていない。インターフェースも各意識によって配置されている。中には、涼宮ハルヒへ 直接・間接的なショックを与えて情報変化を観測しようと考えているものもいる。その事実を考えれば、 涼宮ハルヒによって選ばれたあなたは、その手段として利用される恐れがある。仲間のインターフェースより その予兆ともいえる情報因子をすでに取得している」 やっぱりそうなるよな。文芸部活動だけで疲労困憊なのに、朝倉襲撃にも備えないならんのか。ん、ひょっとして 昨日朝倉が長門に会いにきていたのもそれを伝えるためだったのか? さて。こんな話をされたからと言ってホイホイと信じてしまうわけにもいかん。かといってさっさと帰るのも 長門に悪い気がする。ここはフィクション話として少し付き合ってみるか。 「わかった。信じるかどうかは後でゆっくり考えさせてくれないか? 今は文芸部存続で頭がいっぱいだからな。 それが終わってからでも遅くはないだろ?」 俺の言葉に、長門はコクリを頷いた。これでよし。後は適当に信じていないふりをしつつ、情報を聞き出すか。 「でだ。せっかくだから話だけ聞くと結構おもしろいように感じるわけだ。せっかくだからいろいろ教えてもらいたいんだが」 「何でも聞いて」 俺はオホンとわざとらしく咳払いをすると、 「とりあえずお前の役割って言うのはハルヒの監視なんだろ? でもハルヒは最近すっかり姿が見えない状態だったが、 どうやって情報把握をしていたんだ?」 「さっきも言ったとおりインターフェースはわたしだけではない。協力者もいるため、そこから情報がわたしに集められ、 精査後に情報統合思念体へと報告している」 長門の回答に俺は違和感を憶えた。ハルヒがここ最近潰して廻っていた組織とやらは、ハルヒの正体を知っているはずだ。 そうなると、どこからかそれについての情報を得ていなければならないわけで、機関も未来人もいないこの世界だと 唯一の情報入手先は長門たちインターフェースということになる。これについてはハルヒも指摘していたな。 そして、今長門はそいつらを協力者と表現し、ハルヒの情報収集に使っていたと言った。一方でハルヒは 三度致命的なミスとやらかしたと言っていたが、何でその情報が長門に伝わっていないんだ? どこかで止まってでもいるんだろうか。 俺はしばらく考えていたが、ふと部屋の中にもう一人の人間がいることに気が付く。ぎょっとして振り返れば、 あの朝倉涼子が俺たちのすぐ近くに、いつもの柔らかな笑みを浮かべて立っていた。何でこいつがここにいる? いつの間に入ってきたんだ? 朝倉はゆっくりと長門の周囲を歩き始めると、 「でも、その情報のまとめ役である長門さんが全く機能していないのよね。困っちゃう話だわ。あなたもそう思わない?」 よくわからんことを言ってきた。 だが、長門はそんな朝倉の言葉を完全に無視して、 「この状況を作り出した理由について説明を求める。今のあなたからは敵性反応が感じられる」 「あら、エラーに浸食されているのにそんなことはわかるんだ」 そう言いつつ朝倉は長門の背後に立ち、床に正座したままの長門の肩に手をかけると、 「良く自分が涼宮ハルヒの監視者であるなんて言えるわね。この一ヶ月の間、涼宮ハルヒは2978回もの不審な情報操作を 行っているのに、あなたは実に2654回それを放置した。さらに、上の方に報告した分についても95.6%は エラーとバグだらけで報告として全く成り立っていない状態。とてもじゃないけど正常動作しているとは言えないわ」 朝倉の言葉に、俺は言いしれぬ嫌な予感が全身を駆けめぐる。何か――朝倉の笑顔は変わっていないが、明確な敵意を感じる。 それに長門のさっきの言葉だとこいつは何かをしでかしたみたいだが…… 「回答になっていない。あなたはわたしのバックアップ。こちらの指示に従い、明確な回答を求める。 なぜこの部屋を情報統合思念体から遮断し、外部環境から隔離したのか」 長門の声は少し緊張しているように感じた。ちなみに俺はその数百倍はびびっている。なぜかと言えば、 気が付けば俺のいる部屋の窓・扉が全て消え失せ、完全な密室状態になっているからだ。今の長門の言葉を聞く限り、 やったのは朝倉か? 朝倉は長門から手を離し、少し離れた場所に移動した。そして、両手を広げ、 「その通り。わたしはあなたのバックアップ。でもその意味を知っている? 本体が役に立たなくなったときに 代替の役割を果たすものなのよ。だから――」 朝倉の微笑みは変わっていない。なのに、なぜかその時の笑みだけは凶悪にゆがんでいるように見えた。 ――とっさだった。俺は長門に飛びつくと、そのまま脇に抱えて部屋の隅に飛び込むように逃げ出す。 そして、その一瞬後に長門がいたところを無数の光の刃が通り過ぎた。一歩遅ければ、今頃長門の身体は ずたずたにされていただろう。 「――だからわたしはバックアップとして、役立たずのあなたを排除する。そして、以降の涼宮ハルヒの監視の主導は わたしが行うわ。情報統合思念体には長門さんが内部エラー多発で自己崩壊を起こしたと報告しておいてあげる」 続けられた朝倉の言葉に、俺の額から冷や汗が流れ落ちた。おいおい、これはどういうことだ? 朝倉が俺を殺しにかかるならまだわかるが、今は長門を殺そうとしている。しかも、長門がインターフェースとしての 役割を全く果たしていないだと? そうか、だからハルヒの致命的なミスというものも長門の親玉まで情報が行かなかったんだな。 そんな俺の疑問に朝倉が答えるはずもなく、 「わたしは長門さんと違ってただ見ているだけなんていうことはしない。積極的に動くつもりよ。 そうね、せっかくだからあなたにもこの場で死んでもらっちゃおうか? そうしたらきっと涼宮ハルヒは とんでもない情報爆発を起こすはずだしね」 ええい可愛らしい笑顔で物騒なことを言いまくるな。まさか、長門のカミングアウトと朝倉暴走のイベントが同時発生するとは 考えてもいなかったぜ。せめてハルヒにここに来ることぐらい伝えておけば良かった。 だが、そんなことを後悔している場合ではない。朝倉は両腕から無数の光の刃のようなものを発生させ、 一斉にこちらめがけて投げつけてくる。俺は必死に長門を抱きかかえたまま、じたばたとそれから逃げ出し、 ぎりぎりのところで回避する。 俺はじりじりと迫ってくる朝倉に慄きつつ、悲鳴のような声で、 「おい長門! 何とか朝倉に反撃できないのかよ! 俺が逃げ回るのも限界があるぞ!」 「できない」 「なんでだ!?」 「朝倉涼子はこの空間を情報統合思念体との相互通信を出来ないように封鎖している。これではわたしの情報操作能力は 全く使えない状態。さらにこの空間領域は完全に朝倉涼子が制御している。どうすることもできない」 抑揚のかけらもない口調だったが、そのまなざしは謝罪に満ちあふれていた。ちっ、そんな顔で見られると どうにか守ってやりたくなるじゃねえか。 だがどうする!? 「いい加減諦めてよ。どうせ結果は同じなんだからさ」 あの時と同じようなことを言いやがる朝倉。はっ、死ねといわれて死ぬやつがどこの世界にいる。 俺は必死に飛び跳ね、しゃがみ、ある時はスライディングして朝倉の攻撃をかわし続けた。自分でも良くかわしていると ほめてやりたい。だが、俺の世界で朝倉に殺されそうになったときと同じことをされたらもう終わり―― 「最初からこうしておけば良かった」 まさに噂をすれば影。朝倉はその一声で俺と長門の身体を完全に硬直させた。くっそ、指一つ動かせねえ、やっぱりこれは反則だろ。 朝倉は固定されたマネキン状態の方にゆっくりと近づきながら、右手に何かを構築し始めた。光の粒が次第に収束していき、 やがてあのトラウマになりそうな凶悪コンバットナイフへと形作られていく。 「これで惨殺死体にしてあげる。無惨になったあなたの姿を見た涼宮ハルヒはどんな情報爆発を見せてくれるのかしらね。 今からでも期待で胸がいっぱいよ」 人の死を喜ぶようになったらもう人間失格だな――って、こいつは人間じゃなかったか。ちくしょう、どうすればいい!? 俺は必死に脳の回転限界速度で思考を巡らせて何とか出来ないか考えるが、そんなことを朝倉が待ってくれるわけもない。 高々とナイフを掲げると、 「じゃあ死んで」 そう言って一気に俺に向かって飛びかかってきた―― その時。無数のコンクリートの破片が俺に降りかかってくる。それがぶつかる痛みとナイフが俺の身体に突き立てられたものと 勘違いして思わず声を上げた。 「痛ってえな、この野郎! ――あれ?」 叫びの途中で気が付いた。いつの間にやら俺の身体が動くようになっている。俺に抱きかかえられたままの長門も 身体の自由を取り戻しているみたいだった。 そして、眼前に迫っていた朝倉のナイフは俺から数センチのところで停止させられていた。その刃先を誰かが握りしめて、 俺に突き刺さるのを止めてくれたのだ。その人物は―― 「――ハルヒっ!?」 思わず驚愕の声を上げる俺。見れば、朝倉のナイフをしっかりとした格好で見事に受け止めている。力はほとんど互角なのか、 ナイフをつかむ手は微かに震え、たまにこちらに近づこうとしてくるがすぐに押し返した。だが、刃を直につかんでいるため、 それをつかんでいるハルヒの右手からはだらだらと見ているだけで痛くなりそうなほどの出血が起きていた。 学校帰りに俺をつけてきて着替えていないのか、北高のセーラ服の袖が流れる血で赤く染まっていく。 「全く……インターフェースを二人連れ込んで何をやっているのかと見に来てみれば、まさかこんな事態になっているとはね。 でも、外部から入ってくるやつなんていないと考えていたみたいね。こんな隙だらけの封鎖壁なら突入するのは簡単だったわよ」 「ど、どういうこと……!?」 状況が理解できない朝倉は、明らかに動揺していた。そりゃそうだ。情報統合思念体はハルヒは力を自覚していないと 考えているんだからな。それがばりばりの変態超パワーを使って登場したんだからびっくりもするさ。 だが、ほどなくして朝倉は結論を導き出す。 「……そっか。そうだったんだ。あなた、自分の能力を自覚していたのね」 「その通りよ。あんたたちにばれるわけにはいかなかったからずっと隠してきたけどね」 ハルヒはナイフをつかんだまま、朝倉を睨みつけていた。こいつのバカ力でも朝倉のパワーには対抗するのは 厳しいらしい。じりじりとこちらに向かってくるナイフをフェイントをかけるように少しだけ手を動かして、 再度押し戻すという行為を繰り返していた。 ここでハルヒはぐっと朝倉のほうに顔を近づけガンをつけるようににらみを強めながら、 「で、どうする気? 情報封鎖を解いて、あたしが自覚していることをあんたたちのボスに連絡する? できないわよね。そんなことをしたら独断専行で自分の本体を抹殺しようとしたことがばれるんだから」 この指摘に対して、朝倉は余裕の笑みを浮かべたまま、 「大丈夫よ。あなたが力を自覚している以上、情報統合思念体の意思はすべて一つに統一される。すなわち、あなたの抹消。 これはずっと前からの確定事項よ。今更確認や許可を取る必要もないわ」 やっぱりそうなるか。となると朝倉の目的は長門と俺の殺害から、ハルヒの抹殺に変更されことになる。 もちろんそれが完了した後、今度は地球ごと抹消するだろう。 朝倉はここでクスリと笑うと、 「ずっと隠し通してきたのに、何で出てきちゃったのかな? やっぱり彼のことが心配だった? わたしは有機生命体の死の概念はよくわからないけど、やっぱりこの男が大切なのね」 「そんなんじゃないわ」 ハルヒはナイフの刃を握る手を強めると、きっぱり言い放った。 「あたしがここに来たのはあんたを始末する絶好のチャンスだと考えたからよ!」 その言葉と同時に、ナイフの刃がまるでガラスのように木っ端微塵に砕け落ちた。それを見た朝倉は慌てて 後方数メートルの位置へ大ジャンプする。俺が始めて長門と朝倉が本当の人間ではないと認識させられたあの人間離れしたものだ。 すぐにハルヒは俺のそばに立ち、 「いい? 邪魔になるだけだから余計なことはしないで。あいつの相手はあたしがするから」 「おい、大丈夫なのか? 今まで――勝てる見込みはあるのかよ!?」 俺の問いかけ。ハルヒの顔はいつの間にか顔中に浮かび上がってきていた汗が、髪の毛を乱れさせている。 そして、こう言った。 「勝つなんて……今までだって逃げるだけで精一杯だった相手よ」 それを言い終えるや否や、朝倉のほうへもうダッシュをかける。一気に間合いを詰めて、見事な曲線を描いた蹴りを 見舞おうとするが、朝倉はあっさりとまるで発泡スチロール製の棒を受け止めたように右手のひらでそれを受け止めた。 続いてまるで蚊をはたくようにその手のひらを動かすと、ありえない衝撃が起きてハルヒの身体はあさっての方向へ 吹っ飛ばされる。だが朝倉の攻撃はそれでは終わらない。同時にあいていた左腕をかざすと、あの光沢の鋭い槍のようなものを 発生させ、それをハルヒのほうへ投げつけた。 投げつけられた衝撃そのままにハルヒは部屋の壁に激突し、しばらく痛みにこらえていたが、すぐに攻撃第二波に気がつくと、 大きく右腕を振りかざす。ハルヒの目前まで迫っていた光の槍はその一振りで粉砕されたようにさらさらと消え失せた。 今度は自分の番だと考えたのか、再度ハルヒは朝倉に向かって突進を始める。そして、大きく振り上げた拳で 朝倉を殴りつけようとするが―― 「無駄よ。有機生命体の物理接触はわたしには何の意味もないわ。異常な能力を有していても、所詮ベースは有機生命体。 それでわたしに勝てると思っている?」 朝倉の声は全く違う方向から聞こえてきた。瞬間移動でもしたのか、朝倉の姿はさっきまでいた場所から消え失せ、 ハルヒの背後に立っていた。一度殴りかかる体制に入ってしまっていた以上、ハルヒの拳は途中停止することが出来ず そのまま大きく空を切った。もちろん、それを背後からただ見ているだけの朝倉にとって、まさに隙だらけの瞬間だろう。 すっと朝倉が右腕を振り上げると、まるで床から何かが吹き出たような爆発が起き、アッパーでも食らった姿勢で ハルヒは吹っ飛ばされた。衝撃そのままに床に落下して、さらにダメージを増幅させる。 「あら今のにも耐えちゃうんだ? それならこれでどう?」 朝倉の攻撃が続く―― それ以降も、一方的な展開は続いた。朝倉の超宇宙的パワーの連続攻撃にハルヒはなすすべもなくさらされ続け、 すでにセーラ服がずたずたになり、身体中に出来た傷から出血を起こしている。さらに内臓レベルでもダメージが酷いのか、 時折かはっと口内を切っただけではあり得ないほどの量の血を口から吐きだしていた。 一方的すぎる。戦っているのではなく、これでは一方的に虐待されているようなものだ。しかし、朝倉は 別にハルヒをいたぶって遊んでいるようではないらしく、 「やるじゃない。さっきから全て致命傷を負わせているはずなのに、ぎりぎりのところで全部回避しているなんて。 どこでそんな経験と技量を手に入れたのかしらね」 そう言っていつもの柔らかな笑みを浮かべた。口の周りに付いた血を拭いつつ混濁した目になってきているハルヒとは対照的だ。 だが、それでもハルヒはまだ諦めるつもりはないと言いたげに朝倉を激しく睨みつけている。 それもそうか。朝倉にごめんなさいと言っても助けてくれるわけがないからな。まさに純粋な命をかけたやり取りが 目の前に繰り広げられている。 朝倉は右腕を光る凶器に変形させると、横殴りでハルヒの脇腹をえぐる。踏ん張る力もなくなってきたのか、 それをなすがままに受け入れてしまったハルヒは強烈な勢いで壁に叩きつけられる。そして、がくりと床に 膝を付けてしまった。しかし、気力は落ちていないとアピールしているのか、すぐに顔だけは朝倉へにらみを飛ばしている。 「いい加減諦めたら? わたしにはわからないなぁ、どうしてそこまで抵抗するの?」 「黙って殺される奴なんていないわよ……!」 朝倉ののほほんとした言葉に、殺気の篭もった声を返すハルヒ。だが、明らかにその声は普段に比べて、 しゃがれて弱々しくなってしまっている。 「でも、だんだんあなたの戦い方が解析できてきたわ。次で終わりよ」 そう言って今度は両腕を光る凶器へと変貌させた朝倉は、ゆっくりとハルヒ近づいていく。 それに対して、ハルヒはふらつく足を何とか持ち上げるように立ち上がり、次の攻撃に身構える。 その時だった。 「なーんちゃって♪ フェイントよ」 唐突に朝倉は変貌させていた腕を元に戻した。これにハルヒははっと驚愕の表情を浮かべた。 朝倉はさらに近づきながら、 「わたしの攻撃寸前に情報操作でそれを回避している。それがあなたのやり方。でも、ばれたらそこまでね。 あなたの情報操作をわたしので上書いてあげる」 高速に読み取れない言葉が朝倉の口から流れた。 ――その瞬間、目を開けていられないような閃光が俺の視界を覆った。俺は目が焼かれないぎりぎりのところで 目を強くつむり、まぶたの上からですら発光が感じられるそれが過ぎ去るのを待つ。 ほどなくして、俺の視界が暗闇へ戻った。恐る恐る目を開けると、 「ハルヒっ!」 思わず叫ぶ光景が広がっていた。長く伸びた朝倉の腕がハルヒをまるで絞首台のように首をつかんでつり上げている。 ほとんど息が出来ない状態に追い込まれているのか、ハルヒは朝倉の腕を放そうと手でそれを離そうとしている。 だが、朝倉の腕は石化したようにハルヒの喉に食い込んだまま離れる気配すらない。 「あら、身体を粉々に砕くつもりだったのに、またぎりぎりでわたしの情報操作をさらに書き換えたの? 凄いじゃない。 でもこれでも十分だわ。このままあなたをじっくりと絞め殺してあげる♪」 朝倉は珍しく感嘆の声を上げた。一方のハルヒは徐々に酸欠が酷くなってきているのか、顔は赤く染まってきて、 苦しさを紛らわせるためなのか足を激しくばたつかせていた。 このままではハルヒは確実に死んでしまう。俺は思わず長門を抱きかかえたまま立ち上がり、 「止めろ朝倉! 何でこんなことをするんだ!」 俺の叫びに朝倉はやはり表情はやわらかいまま、 「なぜって? 危険だからに決まっているじゃない。それが情報統合思念体の共通意識よ」 「どうして危険なんだ! ハルヒはお前たちに危害を加える意思なんてないんだぞ! 大体今だって お前の方が圧倒的に強いじゃないか! おかしいだろ!」 無我夢中に俺は叫び続けるが、朝倉はあっけらかんと、 「確かに涼宮ハルヒはただの有機生命体にすぎない。わたしたちのように上手く情報操作なんてできないわ。 これだけ抵抗できること自体が驚きよ。でも、そんなことは関係ないの」 ――もうハルヒの顔は赤を越えて、紫色になってきていた。これ以上は耐えられないぞ。 朝倉は続ける。 「情報統合思念体は危険な情報創造能力を有する涼宮ハルヒ、およびそれの影響下にある人間は 決して見過ごすことは出来ない。でも、それを自覚しない限りは危険でもないし、逆に有意義な観測対象になるわ。 できれば、それは避けて欲しい事態だったんだけど、自覚しちゃっていたんだからしょうがないよね」 そう言いながらさらに腕に力を込めて、 「じゃあ死んで」 さらにハルヒの顔色が――直視できないほどゆがむ。 「やめてくれぇっ!」 情けないほどの叫びをあげる俺。 やめてくれ。ハルヒを殺さないでくれ。頼む……頼むから……! ………… 「こういう光景を背後から見ているのって、結構恥ずかしくなるわね」 唐突だった。見れば、朝倉の背後にハルヒが立っていた。もちろん、今にも絞め殺されそうになっているハルヒは そのままの状態である。 これに気が付いた朝倉の表情が驚きに満ちたものへと変貌した。全く予測していなかった――いやしてやられたと 思っているに違いない。ちなみに俺は何が起きたのかさっぱりだ。 すぐに朝倉は肩の力を抜いて動こうとするが―― 「遅いわよ! 情報連結解除開始!」 朝倉に背後に立ったハルヒがぱちんと指を鳴らす。同時に首を絞められていたハルヒがつかんでいた朝倉の腕から 俺の世界で長門が朝倉を始末したときのように、さらさらと粉末状に分解されていった。 「そんな……!」 驚愕と困惑。そんな感情が入り交じった表情で、朝倉は呆然とつぶやく。 やがて、つり上げ状態だったハルヒは拘束状態を解かれそのまま床へと落下する。 朝倉は消えていく自分の身体を見ながら、 「最初からこうするつもりだったのね。ダミーを仕込んでおいて、わたしがその相手をしている間に、 情報連結の解除の準備を進める。その後に、ダミーを介して実行か。やってくれるじゃない。 有機生命体にここまでしてやれるなんてショックだなぁ。あーあ、しょせんわたしはバックアップでしかなかったか」 困ったような顔を浮かべている割には、声に深刻なものを感じなかった。死の概念について理解していないってのは 本当のことなのだろう。 ふと、俺の方に朝倉は振り返ると、 「よかったね、延命できて。でももう遅いわ。涼宮ハルヒの力の自覚は、最優先報告事項。例えわたしを消せても、 そこにいる長門さんが情報封鎖を解除後に、情報統合思念体へ報告する。それであなたたちは終わりよ。 例え長門さんがエラーで報告できなくても、他の対有機生命体コンタクト用インターフェースが報告するだけ。 どうやってもそれから逃れる方法なんてないわ」 あくまでもあのクラス委員スマイルを崩さなかった。そして、最後に一言だけ。 「涼宮さんと残り少ない時間をお幸せに。じゃあね」 そう言い残すと、完全に消え去っていった。 同時に、朝倉の背後に立っていた方のハルヒが消え失せ、さっきまで絞首刑状態だったハルヒの方が 激しく酸素を求めて咳き込み始める。 「おい大丈夫か!?」 俺は一旦長門を降ろすと、かなりダメージの大きいハルヒの元へ駆け寄った。少しでも楽になればと、背中をさすってやる。 どういうことなんだ? さっきの話だと首を絞められていたのは偽物だと思っていたが…… 「途中までホンモノだったわよ……あ、あいつをごまかすためにはあたしなんかが作る偽物じゃ…… すぐにばれる……だけだったから……!」 息切れしながら答えるハルヒに、俺は無理すんなとさらに背中をさすってやる。 何はともあれ危機は脱出できたみたいだ。一時はどうなることかと思ったが、あの朝倉すら撃退してしまうとは 全くハルヒ様々を越えて、崇め讃えたくなるよ。 ハルヒは自らの傷の手当てをすませたのか、ぼろぼろのセーラ服以外の傷を全て治し、すっと立ち上がると、 「まだよ……始末しないといけないのがもう1人いるわ」 さすがに体力までは回復していないようでだるそうな声を上げるハルヒ――ってちょっと待て! もう1人ってまさか!? ゆっくりと長門に近づいていくハルヒに、俺はあわててその前に手を広げて遮った。長門はいつの間にか 正座の姿勢になってこちらをじっと見つめている。 「待て待て! さっきの話も聞いただろ? お前の失敗が情報統合思念体にばれていないのは長門のおかげだぞ。 それにどうやら文芸部活動の影響でろくに機能できていない――つまり普通の人間と大して変わらない状態ってことで、 始末する必要なんてないはずだ!」 「状況と意味合いが違いすぎるわよ! 朝倉も言っていたじゃない、あたしの自覚についてさ。だから、報告される前に 何とかしないと手遅れになる。まだ朝倉の封鎖壁はそのままだから、ここでどうにかしても奴らには気づかれない。 やるなら今しかないのよ!」 そう言いながらハルヒは俺をどけと振り払おうとするが、必死にそれに抵抗した。冗談じゃねえ。 朝倉抹消なら諸手を挙げて賛成するが、長門にまでそんなことをするなんて論外だ。もう俺の中じゃこいつは インターフェースじゃない。文芸部の大切な一員なんだ。それをむざむざ消されてたまるか。 だが、ハルヒは俺の呼びかけに全く耳を傾けようとしない。文芸少女・長門の姿を見ていない上に、 ついさっきまで同じインターフェースである朝倉に虐殺されそうになったんだから無理もないか。 そうなると説得する先はハルヒではなくて、長門になるということだ。 俺はハルヒの肩をつかみ、 「お前の不安はよくわかっているつもりだ。だが、少しだけ俺に時間をくれないか?」 「……どうするつもりよ?」 ジト目でハルヒが返してきた。俺は長門を指差し、 「俺が長門にお前のことを報告しないよう説得してみる」 「できるわけ?」 「ああ……」 そう言いつつ、正座姿勢へと戻っていた長門の前に俺は立つ。そして、しゃがみこみ話を始める。 「災難だったな。大丈夫か?」 「このインターフェースへの外傷は確認されていない。ただ……」 ――長門は一瞬言葉に詰まりつつも、 「朝倉涼子が指摘したことは紛れもない事実。わたしは情報統合思念体との相互通信が正常に行えない状態に陥っている。 たとえこの情報封鎖状態が解かれても、今回の事実を的確に報告できる可能性は低い」 「そいつはかえって好都合だ」 俺はぐっと長門の肩をつかむと、 「頼みがある。今回の一件でお前もハルヒが自分の力を自覚していることを理解したよな? それをお前の親玉には 報告しないでほしい。できるか?」 「…………」 長門は無言のままだ。しかし、その無表情から俺はしっかりと迷いの感情を読み取っていた。俺はもう一押しだと思い、 長門の前でぐっと頭を下げ、 「すまん、頼む! でなけりゃ俺たちはお前をここでどうにかしなきゃらなくなるんだ。だが、俺は絶対にそんなことはしたくない。 まだあれだけ苦労してやり遂げた文芸部の存続の結果わかっていない状態でお前がいなくなるなんて耐えられねえ。 だからお願いだ。報告しないでくれ。そうすれば、朝倉がいなくなっただけで何もかも元通りなんだ!」 話しているうちにテンションがあがってしまい、俺は長門の両肩をつかんでいた。 長門はそんな俺をただじっと黙って見つめていた。簡単には答えは出せないのだろう。役割を放棄しろと 迫っているんだから無理もない。ある意味自分の存在を否定しろと言われているんだから。 と、ハルヒが背後から近づいてきて、 「キョン、もうすぐ朝倉の封鎖壁が崩壊を始めるわ。これ以上は待てないわよ」 「……わかっているさ!」 いらだちのこもった声で返してしまう俺。頼む長門、イエスと答えてくれ。頼む…… たぶん長門が返事をするまで数十秒程度だっただろう。しかし、その時間は俺にとっては数時間にも感じられた。 よく聞く話だが、緊張で硬直した神経が時間間隔を加速させているんだろうな。 そして、長門は答えた。少し――本当に少しだけ頭を下げるという行動で。 俺は念のために確認を取る。 「それはハルヒのことは秘密にしておくってことでいいんだな。少なくとも俺はそう受け取るし、信じる」 「その認識でかまわない。あなたの言うとおり、朝倉涼子の暴走の件以外、情報統合思念体には報告しない」 今度は言葉ではっきりと長門はイエスと答えた。思わず歓喜の声を上げてしまいそうになるが、一応平静さを保っておく。 すぐにハルヒのほうへ振り返ると、 「どうだ? これで文句ないだろ。お前のことは連中には知られないし、人類滅亡もない」 「ずいぶんあっさりと信じるのね。そんな口先だけの言葉を信じろって言うわけ? それに――」 ハルヒは視線を長門のほうへ向けると、 「いったいどう収拾をつけるつもりなのよ。大体、あたしの抹殺はあんたたちの共通認識なんでしょ? それを簡単に破れるわけ?」 その問いかけに長門はしばらく黙っていたが、やがてゆっくりと語り始める。 「なぜこのような判断を下すのは自分でも理解できない。わたしの内部エラー多発に関連していると推測している。 だがはっきりと言える。わたしは涼宮ハルヒの力の自覚について報告したくない。そして、その結果情報統合思念体が とる行動についても容認できない。これはわたしという個体内のみでの思考。わからない。なぜこんなことができるのか。 こんなことができてしまうのか。以前のわたしなら絶対にありえないこと」 その長門の目はすっきりと透き通ったものだった。これだけでも俺は確信できるね。長門は嘘なんて言っていない。 絶対に報告しないだろう。 長門は続けて、 「今回の話をするのももっと後でするつもりだった。だが、明日の文芸部存続の正否によってわたしの内部エラーは さらに増大するかも知れない。だから、今日しかタイミングがないと判断した」 なるほどな。昨日までは文芸部活動に忙殺され、さらに明日にはその結果が出る。今日はそのちょうど隙間ってことか。 ついでに言っておいてやる。お前がエラーと表現しているのはな、以前にも言ったが感情ってヤツなんだよ。 ほかの誰でもないお前自身が感じたことなんだ。それ自体、何ら恥じることもないし、むしろこの短期間で、 あのただボーっとしている状態からそこまで成長したことに俺は感激してしまうぐらいだ。 ハルヒはさらに続けて、 「朝倉のことはどうするつもり?」 「朝倉涼子の暴走についてはわたしの責任。それの処理をするのは当然。情報統合思念体には内部エラーで暴走し 敵性と判定後情報連結解除を行ったと報告する。あなたの関与については何も言わない」 「…………」 長門の回答にハルヒはしばらく目をつぶって考えていたが、やがて驚きの表情へと変化し、 「驚いたわ。こんなことを平然と言うインターフェースを見たのは初めてよ。あんた、いったいこの子に何をしたわけ?」 そう今度は疑惑の視線を俺にぶつけてきた。 俺は手を振りながら、 「だからこないだも言っただろう。ただ文芸部の活動をしていただけだって」 だが、その活動こそが命令以外何も動くことのできなかった長門の束縛状態を解放し、自由意志を手に入れられるきっかけを 作ったことは間違いない。やっぱり読書だよな、長門は。ああ、あとパソコンについてもそのうち教えてやるか。 俺の世界でのコンピ研との一戦以来、そっち方面にもまんざらでなくなりつつあるみたいだし。 ハルヒはやがて観念したようにため息を吐くと、 「わかったわよ。あんたたちの言うことを信じてあげる。でも言っておくけど嘘ついたりしたら本気で承知しないわよ。 どんな手段を使ってもあんたたちの親玉への報告は阻止するつもりだからね」 「その認識でかまわない。むしろ、わたしはそうしてくれることを願っている」 長門の返事。と、ハルヒはすっと長門に手を差し出すと、 「一応これからは仲間も同然だから、改めて自己紹介しておくわ。あたしは涼宮ハルヒ。あんたの名前は?」 「長門有希」 「長門……有希ね。有希って呼ぶわ。これからよろしくね」 「わかった」 長門はそう答えつつ、ハルヒの手をとった。 ……たぶん、史上初めて情報統合思念体とかかわりを持つものとハルヒがこうして友好的に手を取り合ったんだろうな。 俺はふとその光景にそんなことを考えていた。 ◇◇◇◇ やたらと長くなった長門のカミングアウト+朝倉暴走イベントが終わった後、俺とハルヒは長門のマンションを後にする。 封鎖壁を解除する瞬間、ハルヒはまだ信用し切れていないのかかなり緊張した面持ちだったが、その後長門と別れた後でも 特に世界に異常が発生した形跡はなかった。どうやら長門はしっかりと約束を守ってくれているらしい。 まあ、俺は最初から疑ってもいなかったけどな。 俺たち二人は夜と深夜の境目になりつつある時間帯の道を歩いていた。心なしか、さすがに対朝倉戦のダメージが残っている ハルヒの足取りがいつもより重く感じる。 俺はそんなハルヒを横目で見つつ、 「とりあえず礼を言っておくぞ。長門の言うことを信じてくれてありがとな」 「……別に完全に信用したわけじゃないわよ」 ハルヒは疲労感のこもった言葉を返してくる。何だまだ長門のことを疑っているのか? そんな不満を表情に出したのを読まれたのか、ハルヒは軽く首を振りつつ、 「そういうと語弊招くか。あの子――有希の言っていることは信用するわ。これでも人を見る目は鍛えてきたつもりよ。 あれは絶対に嘘やごまかしをしている目じゃなかった。あの子本心からの言葉なのは間違いないわ。でもね、 だからといって情報統合思念体に絶対に報告されないとは言い切れない。有希の意思を無視して、さっきの一件が 伝えられる可能性は否定できないわ」 「……それは……まあそうだが。でもよ、それを言い始めたらあの事態が起きた以上、長門に関係なく 起こるかもしれないって事だろ」 「そうよ。万一だけど、それに備えておく必要があるってあたしは言いたいの。しばらくはリセットをすぐ行える体制を とっておくつもりだから。いざとなったらあんたの意見なんて聞かずにとっとと実行するからそのつもりで」 ハルヒの言葉に、俺はなるほどと思った。確かに相手は宇宙規模の巨大勢力だ。どんな手段でハルヒの能力自覚を 察知するかわかったもんじゃない。しかも、それから派遣されたインターフェースの前で、はっきりとそれを証明してしまった。 何が起きても不思議じゃないってことか ふと、ハルヒは思いついたように、 「あ、そうだ。あとこれから有希の監視も含めてあたしもあんたと一緒に行動するわよ。今まではごたごた続きでできなかったけど、 しばらくはあたしにちょっかい出してくる連中もおとなしいだろうし――文芸部だっけ? あたしも入部することにするわ」 「それは一向に構わんが、下手をしたら明日廃部になるかも知れんぞ」 「それならそれで、別の部活なり同好会を立ち上げればいいじゃない。できるだけ有希のそばについていたいしね。 なんていうか――いい子だわ。朝倉みたいなインターフェースばかり見てきたから少し偏見が減ったかも」 だんだん、俺の世界の団長様に近づいてきたな。元はほとんど同一人物みたいなものだし、同じ状況になれば、 抱く感情も似通ってくるのだろう。 だが、ハルヒは今良い事を言った。廃部の場合は新たに同好会でも作れば良いということだ。なるほどな、確かに最悪の場合は その手もあるか。あっという間にそこにたどり着けるとは、さすがのポジティブ思考ぶりである。 「ところで最近の文芸部ってなんかあんたたちやたらと熱中していたみたいだけど、何をしていたわけ?」 ハルヒの質問に、俺は端的に入部した経緯・長門の読書狂ぶり・さらに廃部の危機にあることについて話してやる。 それなりに雄弁に語っていたつもりだったが、俺の話が進むに連れてハルヒは眉を次第にひそめてしかめっ面へとなるのは何でだ? 「……ずいぶん有希と仲が良いじゃない」 そりゃ怒涛の文芸部活動に打ち込んでいたからな。それなりに連帯感つーか信頼関係ぐらいは築けて来るさ。 だが、ハルヒはますます口をとんがらせそのまま黙ってしまった。何だよ一体。 結局そのまま俺たちは別れ、別々の帰宅の途についた。 涼宮ハルヒのSS 厳選名作集 長編 涼宮ハルヒの軌跡
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それは突然の事だった。授業が終わり、部室でハルヒが宣言したのだ。 「キョン、セックスしよ。」 今部室では幸い二人っきりだ。OKOK、落ち着け俺!今日は四月一日でもないよな。 「おい、お前いきなり何を言っているんだ?洒落にならんぞ。まったく俺だって健全な高校生なんだからな」 ハルヒは顔を俯いたまま床下を見ている。今なら説得出来そうだな、よし! 「もしかしたら、俺が本気でお前の事を犯すかもしれんぞ。さっきの言葉を本気にして…それで妊娠してお前の将来がめちゃめちゃになったらどうする?」 ハルヒは小さな言葉で呟いた。 「あたし…キョンとなら……い、いよ」 ん?小さく何を言っているのさっぱり分からん。こんなしおらしいハルヒを見るのは久しぶりだな。 だが・俺は少しハルヒに意地悪したくなったのだが、さてどうする?やっぱりこれしかないか 「おい、ハルヒよ。俺としたいのなら言うことを聞け!」 意外なことにハルヒはコクっと頭を動かし怯えた子猫の様にこちらを見る。 「とりあえずスカートを捲れ。」 ハルヒは俺の言う通りスカートを捲り上げる。驚いたね、いつもならこのエロキョーンと叫びながら殴り付けるのに もしやこれは今までの仕打ちを返すチャンスかもしれんな。それともどっきりカメラかも… だがハルヒはスカートを捲り上げたままこちらを凝視している。多分次の命令を待っているのか? 「次はブラウスとスカートを脱げ。机の上でM字開脚するんだ」 これは思った以上にとんでもない。既にハルヒは下着姿でそれもM字で股を開いている。パンツに少し染みがあるがもしかして興奮しているのか? あの唯我独尊の団長様が…見ているのも体の毒だ、触ってみたいのが健全な高校生なんだよハルヒくん 「ハルヒ、俺が今からお前の体触るからな。その時は声を出すなよ?出したら止めるからな」 「うん…分かったよキョン…我慢するね」 俺は、人差し指をハルヒの肩から文字を書くように滑らす。気が付いたのだが、なぞっているとあいつはビックと体を震わせている。 以外に敏感なんだなハルヒよ。本当なら大事な所等を攻めたいが少し焦らしてやる。その分楽しませてもらえるからな 耳に息を吹き掛けたり、甘咬みをしてみる。いつも朝比奈さんにやっている事だからな…お前も受けてみろよ 「う…っ…く…うぁ…」 強情に耐えているな。左手で股の隙間を擦ってみると息の上がりが激しくなっている。まだ秘部には到達していないのに、この調子で触ったら一体どうなるのか見当もつかない。 「ハルヒよ、今から耐えた御褒美をやるから声を上げてもいいぞ」 俺は直接ブラの隙間に手を突っ込んだ ハルヒのそれは朝比奈さんより若干劣るものの、掌に合わせたようにちょうどいい大きさだ。 少し進んだところで、指に突起が触れた。その瞬間、ハルヒは腰を跳ねた。こいつは本当に感度がいい。 「ちょっ、ちょっとまっ‥あぁっ!」 ハルヒのそれはみるみる肥大した。俺はそこを激しく責め立てる。 悶えているハルヒ。俺は顎に手を添えて強引に唇を奪う。 ちゅぱ…んん…じゅる唾液が交じり合う。お互いの舌を絡み合えをしながら歯茎等を攻める。 余っている右手をショーツの中に入れる。反応がまた変わってきた。指先で触れると、陰毛からクリトリスまですっかりベタベタしていた。 「ちゅぱ…きょきょん…もっとあたしを…ふぁぁぁ」 段々態勢がきつくなってハルヒを引き剥がそうとしたらあいつは泣きそうな顔をしてこっちを見ている。 やばい…ハルヒに初めて萌えてしまった。ここは口には出さないことにする。 「ハルヒ…これを見ろ。俺もお前で興奮している。だから、分かるよな?」 俺はズボンとパンツを降ろし外に出たジョン(息子俺命名)はビクッビクッとハルヒの方向に向いている 「キョンのおっきい…ふふふ」 いやらしい口から放たれるその言葉は俺にとって理性を壊すのに十分な威力だ。 「ハルヒ、俺のコレを静ませなければいけない。」 俺はハルヒの手をとり握らせる。初めて異性に触られる快感、細い指で上下に擦る。 「すごい、また大きくなったねキョン…」 くう…気持ちいい、いつの間にか立場が逆転していた。袋を口に含み尿道に絡めてくる細い指 思わず射精感が込み上げてくる。それを見透かしてハルヒは激しく擦り上げていく、カリが大きくなる。 「で、出る!ハルヒ離せ、顔にかかるぞ」 言った瞬間ハルヒは俺のジョンにしゃぶりついてきた。 ドピュッドピュッと俺はあいつに口内射精をしてしまった。普通なら離すのにあいつは離さず。 精液をおいしそうに飲み込む。ドロドロしていててこずっていたが、嬉しそうに100万ドルの夜景並の笑顔を振りまいていた。 嬉しそうなハルヒの笑顔…ふと思い出す。あいつは俺とのセックスが目的ではなかったのか? 実は俺のジョンも再充電している。これもハルヒが望んでいる事だろう。こうなったら話は早い 「ハルヒ…また、大きくなったのだが?責任とってくれるよな?」 「え?」 何驚いているんだよ。お前が望んだからこうなっているんじゃないか、まさかここまでしていて拒否はないだろう。 兜虫だって目の前にある蜂蜜等無視できないさ 「俺はハルヒが欲しい。一生大事にするから、抱かせてくれ」 そう言うとハルヒはニヤニヤしながら俺の顔を見つめながら話し掛ける 「ふふ、やっとあんた素直になったわね。いつまで待たせる気だったの?あたしはこうでもしないとあんたの本音が聞けなかったからね」 げっマジかよ。ハルヒにしてやられたみたいだな、しかし悔しくはない寧ろ良かったと思う。 「まあいいわキョンの好きにしなさい、初めてだから優しくするのよ?団長命令なんだからね」 ハルヒを再び抱き寄せいつもなら絶対言わない言葉をかける。 「ハルヒ…愛しているぞ…この世界で一番」 「グスッ…キョン…世界じゃなくて宇宙で一番と言いなさい。でも、ありがと…」 お互いの気持ちが重なっていく、心も肉体も。胸を揉みながら口付けを行なう。 ふと思ったことがある。それは、さっきハルヒにジョンを舐めてもらったからなお礼をしなければならん。 「お前のアソコ舐めていいか? 」 「汚いから舐めなくてもいいわよ。でもどうしてもと言うなら…あたしはいいわ」 俺は押し倒し股を開かせ初めて生で見る女性器。エロ本で見るよりも興奮した。 「まじまじ見ないでよ…恥ずかしいし、キョンは初めて見るの?もしかして佐々木さんと…」 「佐々木とは何でもない。俺はエロ本でしかないから安心しろ」 肉色はピンクに近いな。しかし昨日までハルヒとこんな関係になるとは思わなかったな。 陰芯に舌を突き出しスジを舐め回す 拡げながら舐め回すとハルヒの顔を見ながら反応楽しむ。 「あ、あん…そ、そこよキョン…うん…」 クリトリスの皮を剥き先端にピンポイント攻撃!俺は女の潮吹きを初めて食らう事になる。 「ああぁぁぁぁぁぁーっっ!いくぅぅぅーっっっ!!キョーン!!」 クンニに集中していたから避けられずに顔面に液体がおもいっきりかかってしまった。 「うわーちょっと待て!」 「ちょっとキョン大丈夫?ぷぷぷっあはははーゴメンね!あんたの顔最高」 かけた本人のくせに、まったく困ったものだ…笑った仕返しに顔を舐めてもらうか? いや止めておくか…逆なら恐ろしいことになるからな…やれやれ 「キョン?もしかして怒った?本当にゴメンね。だってすごく気持ち良かったの…」 「俺は別に怒ってないぜ。だだ少しショックだっただけだ。」 「キョン…あたし気持ち良かったの初めてだったから、許してくれるかな?それにまだアレも残っているし…」 ああそうだったぜもう少しで萎えそうだったが、どうやら俺の息子は親孝行らしい 再びキスをねだるハルヒのリクエストに答えしばらくすると俺の目を見つめ合図をする。もういいって事だな。 再び俺はハルヒを抱き寄せて正上位の体型にもっていく ハルヒの遥(陰部俺命名)を開き俺のジョンを挿入していく ハルヒの中は予想以上きつく暖かいぜ。言うならかずのこ天井ってやつかな?俺の息子への吸い付きが半端じゃない。 「キョン…が中に…くう…また大きくなるよう…」 入れたばかりなのに、射精感がまた込み上げてきそうだ。しかしハルヒは処女のはずだが… まさか既に非処女なのか?中学時代、色々な男と付き合っていたのは知っている… だがハルヒは初めてと言ったから間違いはないはずだ、俺は信じることにした 俺は少しづつストロークを上げる。そのたびにハルヒは喘ぐ。 「あん…あん…キョ…気持ちいい…もっと乱暴にしてもだ、大丈夫よ」 そうかい、ならスピードアップする。でもすぐに出そうなので体位を変える事にしたほうがいいな 「ハルヒよすまんが四つ馬になってくれ。後ろからやってみたい、いいだろう?」 ハルヒは顔を真っ赤にして少し睨みを入れて話し掛ける 「あ、あんた正気なの?後ろから?本当に初めてなの?この変態エロキョン」 後ろから突きまくる。俺は小さな葛藤と戦っていた。ハルヒを乱暴して支配したい心。もう一つは愛しくハルヒを大事にして優しくする心だ 性交しているのに冷静になれるのはなんでだろうね。まったく俺は少し変態かもな… 気付くのが遅いかもな!もう少し奥まで突いてみた。 ズズッ…クチュ…いやらしい音が部室にこだまする 「あん…キョーン!あんたのアレ…うん…子宮に当たるわ…凄い何これ」 やばい、あまりにもハルヒの中の締め付けが丁度ジョンとの相性が抜群なのだ 「キ、キョン…次はあたしがキョンを上から見たいの、だから…いいかな?」 今度は騎上位かよ!心の中で突っ込みをいれる。 「分かったよ、お前の好きにしろ。」 ハルヒは嬉しそうに俺の上に乗りジョンを掴んで再挿入を行なう。 「あん、あん、これも気持ちいいよ。やっぱりキョンとあたしは最高のパートナーね!」 俺はハルヒの胸を揉み解す。なんか俺が犯されている感じだなこれは、しかし騎上位というのは精子を出す時難しいな。いったん退けなければいけないからな そう思いながら下を確認すると結合部から出血があった。これは純潔を破った証拠なんだな… ハルヒの動きが激しさを増す。これ以上は勘弁してくれ 「おい!やばいって出そうだ。聞いているのか?」 「うん…あん…キョンキョンキョーン何で…何か来そう」 まったく聞いちゃいない!このままでは俺はやばい事になる。射精感が限界に近い 「頼むよ…ハルヒ出そうなんだ。妊娠したくないだろ!おーい」 「ちょっと待ってよキョン!もう少しもう少しで何かが来そうなの」 「な、何?キョン中でプクッとしているわ!先端が大きくなっているじゃないの!」 更にジョンを締め上げていく。ダメだ…俺は耐え切れず。そして… くう…俺はメルトダウンしてしまった。やはり騎上位はやるのではなかった。 中で精子がハルヒに吸い取られる。 「ちょっとキョン!中に何を出したの!」 「スペルマ、ザーメン、子種、精子と言われるものだが」 まあ受精すれば子供が出来る。男と女の交わりで作る。なんて神秘的なんだろな 「妊娠しちゃうじゃないの!馬鹿キョン!あんたわかってんの?」 お前が話を聞かず騎上位で退かないのが悪い!と言いたいが…言ったら閉鎖空間どころじゃないからな 万が一子供が出来たら俺が責任とる。俺だって男だからな、その位頼りにしてくれよ。 「ハルヒ、もしもだ。出来たら一緒に育てよう。俺達の子供だ、ここで赤ちゃんを流す事は考えていないぞ。親の都合で命を奪うなんて俺はしたくない」 俺って格好いいな!ハルヒは涙を流している。 「グスッ…キョン。ありがと…出来たらあたし生むから」 俺はハルヒを抱き締めキスをする。やっぱりこいつを一生大事にしないとな…そして 突然ドアが開いた。 ガラッ 「遅れてしゅみましぇーん」 「………」 部室内が異様な雰囲気となっている。朝比奈さんは目をあさっての方向に向けながら 「あ、あ、あのう、これはお楽しみのところすみましぇーん」 朝比奈さんは真っ赤なになりながらパタパタしている「本当に知らなかったのです。ま、まさか涼宮さんとキョン君が禁止事項をしているなんて」 さっきから朝比奈さんが俺のジョンを熱い眼差しで観察されていますが… あーダメですよ。いくら手で目を隠そうとも隙間から見ているのがバレバレです 「ひゃっ!……す、すいません…ごゆっくりぃ;;」 いったい朝比奈さんは何をしに来たのか…まあ団活だが… とりあえずハルヒさん服着たほうがいいんじゃないか? 「キョンもう一度する?どうせ一回も二回も同じなんだしさ」 もう一度やるのか?確かに朝比奈さんに見られて興奮しジョンも起きたままだから…つーか我ながら凄いな 「じゃあ一応鍵かけておくか?誰にも邪魔されないようにな。」 俺は扉に鍵を閉めハルヒと再び向かい合う 「一応騎上位は止めような。出すとき不便だし…結婚したら何回でもやってやるからさ」 「うん!約束よ。キョン、忘れたらどんな手を使っても思い出させるからね」 どびっきりの笑顔で俺を迎える未来の俺の妻 もう既に俺の将来も決まっていたのかね。退屈するより遥かにマシだ だからこそハルヒが必要なんだろうな。重なり合いながら今後の事を考えていた。 一応完
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…… とりあえずだ、現実逃避してる場合じゃないぞ。いや、だって、今のってどう見ても告白だったろう?? いつから告白ってのは…こんな日常会話に混じる親近感あふれる代物になったんだ?? …待て待て!とりあえず落ち着け!今は告白の定義などどうでもいいだろう…!? それよりも佐々木にどう返答するか、それを考えねばならない。改めて佐々木を見る。…かわいい。 いや、第一声がそれってのもどうかと思うが…しかし事実なのだからどうしようもない。フィルターをのけたって、 余裕で平均は超えてるだろう。顔以外にも目を向けてみるが…そのプロポーションの良さだって言うに及ばず。 認識した途端、この状況が物凄く不思議に思えてきた。なぜ俺みたいな平凡野郎がこんな美少女と 談笑できているのかと…慣れってのは恐ろしいもんだな。そう考えるとハルヒもそうか。 あいつにも佐々木同様のことが言えるかもしれない。朝比奈さんや長門にしてもそうだが、 どうしてこう俺の周りにいる女の子はレベル高いコばかりなのか。つくづくそう思った。 「…キョン?さっきからどうしたんだい…?僕の顔や足に何かついてるのかな。」 佐々木が顔を伏せ気味にして、何やら恥ずかしそうに声を発してる。って、え?顔や足? …… 「!す、すまん!」 つい声を張り上げてしまう。そんな俺に、佐々木はキョトンとしていた。 おそらく俺は佐々木の体を…舐めまわすかのごとく見てた…んだと思う。何やってんだ俺…!? 「いや、まあ、別にいいんだけどさ。僕も一応女の子だから、殿方に理由もなしに ジロジロ見られるのは恥ずかしいんだ。そこはわかってほしいな。」 「あ、ああ…すまん。次からは気をつける。」 「というか…何をそんなに動揺してるんだい?まさかとは思うが…『好き』をそういう意味でとった?」 え…?どういうことだ??『そういう意味』って何??【好き】は【好き】でしかないんじゃないのか…!? 「あ、あのねえキョン。さっき言った好きってのは友達としての好き、つまりlikeだよ。 愛してるのloveじゃないんだ。状況的に後者じゃないってことは言わなくてもわかると思ってたけど…」 「……」 あまりの脱力で死にそうになった。何この茶番は?そして、俺のあのドキドキも一体何だったのか。 いろんな意味で涙が出そうになった。とりあえず、心の中だけでいいから一言叫ばせてください。 まぎらわしすぎる…っ!! 「ああぁ…悲しい顔をしないでキョン。こっちも悪かったよ…安易に好きって言ったりしてゴメンね。」 「いや、いいんだ。もうそれについては…」 疲れた。以上。 「ただ、涼宮さんがlikeかどうかはわからないけどね。案外loveだったりするかもしれない。」 「佐々木…この局面でからかうのはやめてくれ…俺をオーバーキルしたって良いこと何もねえぜ…?」 「別に冗談で言ったんじゃないけどなぁ今のは。で、実際のところどうなんだい?彼女は。」 「どうなんだって…俺にそれを聞くか!?どうしたもこうも、相変わらず涼宮ハルヒその人よ。 今日の昼会ったときだって、団長様以外の何者でもなかったさ。」 「今日…ああ、そういえば日曜はSOS団の不思議探索だったか。何にせよ、彼女は元気そうだね。」 「元気すぎて困るくらいだ。」 「くっくっくっ、そのバイタリティー、僕にも分けてほしいものだ。しかし…ふむ、 その様子だと何もかもうまくいったようだね。本屋で会った時点でなんとなくわかってはいたけど。」 「?何の話だ?」 「隠さなくていいよ。昨日何があったかは…橘さんや周防さんから聞いたからね。」 っ! 一瞬びっくりした俺だったが…よく考えれば、佐々木が知っていても別段不自然というわけではない。 昨日の事件に橘や周防たちが介入してきた時点でな。 「…どこまで知ってるんだ?」 「大方の事情は知ってるかな。涼宮さんが何者なのか…いや、何者だったのかという点も含めてね。」 「……」 一昨日ハルヒが卒倒した際、長門が観測した未特定情報の大規模拡散。 もし長門がいなければ俺は…そして古泉や朝比奈さんも今回の事件の核心に迫ることは決してなかったろう。 それほど長門のはたらきは必要不可欠だったわけだが…長門が観測できたということはつまり、 天蓋領域の周防だってそれは可能だったんだろう。ということは、真実を知った奴らが 別世界の朝比奈さん殺害を決定したのも…このときか。時を同じくして俺らは大混乱だったわけだな。 「聞けば、じきに世界が崩壊するらしいとのことじゃないか?それを知った僕は自分も何かできないかと 橘さんたちに打診してみたんだが…ことごとく断られてしまった。そのため彼女たちが何をしたのかも 結局は教えてくれなかったが…まあ、僕は関わるべきではなかったってことなんだろうね。 僕にはキョンたちの無事を祈ることくらいしかできなかった。」 「…そうだったか。」 その一点においてだけは連中に感謝してやろう。佐々木を巻き込んでくれなくて本当によかった… まあ、連中からすりゃ佐々木は重要な保護対象なんだから当たり前っちゃ当たり前なのかもしれないが。 それと、『僕は関わるべきではなかったってことなんだろうね。』だが…俺からすりゃ、 関わるべきじゃなかったってよりは、知る必要のなかったって表現のがシックリくる。 なんせ、結果として奴らは朝比奈さん殺害を断行したのである。結局未遂に終わりはしたものの… そんな物騒なこと佐々木に教えられるわけがない。知る必要のないこととは、まさにこのことだ。 「…それにしても涼宮さんの過去には驚かされたよ。 僕が彼女の立場だったら…とてもではないが耐えられないね。おそらく発狂して終わりだ。 そうならなかっただけでも彼女の、その強靭な精神力には目を見張るものがある。 ただ、そんな彼女も…昨日でようやく終わったのだろう?君が…彼女を【解放】した。違うかい?」 「…そうだな。何もかも…全て終わったと思う。」 あくまで『思う』としか言えない。ハルヒの一連の能力も…消えた可能性こそ高いが、まだ断定できた というわけじゃないからな。とりあえず、古泉曰く閉鎖空間自体は一切見えなくなったとのことらしいが。 そしてここで気付く。ハルヒの能力の、それに至る過程を知っているということはつまり… 「…なあ佐々木。もしかして、お前のそれも消えちまったのか?」 つい代名詞を使ってしまい、しまったと思ったが… 今の話の流れならおそらく『それ』でも佐々木には十分伝わったはずだ。 「察しがいいね。そうだね…消えてしまった。気付いたのは今日の朝かな。 目眩がしたり、どこかが痛かったわけでもないんだが…何かこれまでとは違う強烈な違和感をを覚えたんだ。 具体的に説明できないとこが歯痒いけれど。それで気になって橘さんに電話してみたら… 案の定というわけだよ。」 …… 本人がここまで言うということは佐々木の…能力は消滅したとみてもいいんだろう。 となると、逆算的に…ハルヒの能力もなくなってるってことになる。まさかの古泉説当たりか? 『やれやれ』とか言って気だるそうに話聞いて悪かったな古泉。 「…そうか。消えて何か思ったりしたか?」 「いや、特別には。今までが大した能力じゃなかったからね。 そもそも、閉鎖空間が存在してるだけのそれを能力と言えたかどうかも怪しい。 大体そんなところではあるけど。敢えて言うならば、なくなって少し不安だったかな。」 不安? …… 一瞬意味がわからなかった。逆ならすんなり通るんだが… 「…すまない。涼宮さんの気持ちを考えるなら、なくなって不安だとか そういうことを言うべきじゃなかった。僕ときたら…本当自分勝手な人間だ。」 「いや、別に俺はそんなこと思っちゃいないが…」 逆に俺はその理由が気になっていた。確かに…ハルヒならばありえないだろう。なくなった今、 あいつは幸せなはずだからな。だからこそ、なぜ佐々木がそんな正反対のことを言ったのかが気になるのだ。 「…佐々木。よければその理由教えてくれないか?なに、それで怒るほど俺は卑小な人間じゃない。」 「……」 言うのを躊躇ってたようだが、やがて彼女は決心したのか、静かに口を開く。 「…怖かった。」 「え?」 「怖かった。君との接点がなくなるのが、怖かったんだ。」 「……」 一体何を言い出すのか?と思ったが、なんとなくその意図は伝わった。いや、確かに伝わった。 決して特別なことを佐々木は言ってるわけじゃない。彼女もまた、古泉・長門・朝比奈さんたちと 同じだった、ただそれだけだ。今日の不思議探索時、俺は古泉・朝比奈さんと…ハルヒの能力がなくなっても SOS団であり続けることを確かめ合った。元々の存在意義を失ってまでも2人は、俺たちと一緒にいてくれることを 選んでくれた。最初はなかったかもしれない繋がり…だが、今ではちょっとやそっとの理由じゃ決して離れない、 そんな強固な絆が確かに俺たちにはあった。だからこその『SOS団であり続ける』という答え。そしてそれは、 後で確認した長門も同様の答えだった。しかし…一方の佐々木はどうだろうか? 俺には、佐々木に対してそこまで露骨な役割意識はもってなかった。が、それでもだ。 SOS団と敵対してたはずの藤原・橘・周防が佐々木に接近、ないしは取り込もうとしていた客観的事実。 それを前にして俺たちと佐々木の能力に、果たして接点がないと言えただろうか?中学の卒業以来、 俺と佐々木が塾という学習環境以外で会うことが多くなったのも、これらの要素が無関係だと果たして 言えただろうか?残念ながら答えはNoだ。一部においては、俺はそれを認めなくてはならない。 佐々木本人も俺たちの関係がそれを前提として成り立ってたことを知っていた。 それは先程の彼女の言葉から明らかである。ならば、ここからが問題だ。 その接点が消えてしまったとき、俺と佐々木は一体どうなるのか?それを考えなくてはならない。 さて、どうなるのだろう。まず古泉や長門、朝比奈さんにはSOS団という明確な繋がりがあった。 だからこそ、ハルヒの能力が消えても俺たちは『俺たち』であり続けられた。しかし、佐々木はどうだ…? 彼女には…SOS団のようなわかりやすい繋がりというのがない。…繋がりがない。 つまり、接点無き今、佐々木とは元の白紙の関係に戻るというわけだ。 …… …ちょっと待て、それはおかしくないか?第一、この論法には俺個人の感情が全く反映されていない。 佐々木の感情だってそう。機械的概念で割り切れるほど、人との付き合いってのは無機質なものだったか?? そんな単純なものだったか??…何か違う気がする。 そこでふと、佐々木との会話を思い出す。今日俺に投げかけてくれた、その一連の数々を。 ------------------------------------------------------------------------------ 「とはいえ、いきなり話しかけたりしてすまなかったね。久々に君を見てしまったんで、つい…ね。 衝動が抑えきれなかったんだよ。旧友との素晴らしき再会、それに免じて許してはくれないかな?」 ------------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------------ 「僕はキョンが食べるのと同じものにするよ。」」 「それまたどうして?」 「気分さ。」 ------------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------------ 「その意見は至極妥当だと言える。そしてサイズだって、自分に不釣り合いなのはわかってたよ。 それでも今日だけは君と同じ…あ、いや、何でもない。とりあえずさ、食べるの手伝ってくれないかな?」 ------------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------------ 「僕はねキョン、君に行動原理をしっかりと把握されてる、そんな涼宮さんが羨ましいと言ったんだよ。そして、 そんな彼女も君のことを把握してるからこそ、理不尽な要求が通せるんだ。互いが互いのことをわかってる… なんとも理想的な、仲睦ましい男女じゃないか。」 ------------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------------ 「あ、あのねえキョン。さっき言った好きってのは友達としての好き、つまりlikeだよ。」 ------------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------------ 「…そうか。消えて何か思ったりしたか?」 「いや、特別には。今までが大した能力じゃなかったからね。 そもそも、閉鎖空間が存在してるだけのそれを能力と言えたかどうかも怪しい。 大体そんなところではあるけど。敢えて言うならば、なくなって少し不安だったかな。」 ------------------------------------------------------------------------------ ------------------------------------------------------------------------------ 「怖かった。君との接点がなくなるのが…怖かったんだ。」 ------------------------------------------------------------------------------ …なるほど。冷静に回想してみて、なんとなくわかった。佐々木が…俺のことをどう考えていてくれたか。 そして、これから俺とどういう関係でいたいのかってのがな。接点が切れてしまった今どうするのか? その解決法はあまりに単純だった。 「…佐々木。」 俺は思ったことを素直に口に出す。 「なければ…作ればいいんじゃないか?」 「え?」 「接点をだ。」 佐々木はわけがわからないといった顔をしている。まあ、それも当然だろう。俺がお前の立場だったとしても、 そりゃ頭を抱え込むさ。昔、誰かさんとそういうやり取りがあったから尚更そう確信できる。 「接点って…どういうことだい??」 「どういうことって…お前が今日、俺に散々言ってたことだろう?…まあ、わからんようならストレートに言ってやる。」 一息つき、俺は言い放った。 「たった今から俺とお前は正式に『親友』とする。一方的なもんじゃなく、互いがそれを認め合う仲だ。 それは…これからもずっとだ。どうだ?これで接点ができただろう?お前が不安がる心配なんか、 どこにもなかったんだよ。」 …… 「くっくっ…アッハッハッハ!!」 それまでの重い空気を吹き飛ばすかのごとく、緊張の糸でも切れてしまったのか…佐々木は笑い出した。 「おいおい、何も笑うことはないだろう?」 「いや、この状況で笑うなってほうが無理だよ…!くっくっく…というか、 まさか君が真顔でそんなセリフ言うなんてね…!夢にも思わなかったよ…!」 「……」 俺の真顔というのは、それはそれはシリアスとは程遠いらしい。…地味に傷つきましたよ佐々木さん。 「…で、面白かったのはわかったから、結局お前はどうなんだ?『親友』になるのかならないのか?」 「おお、怖い怖い。まるで『イエスかノーか』で英軍司令官アーサー・パーシバル中将相手に 降伏勧告を迫ったマレーの虎、山下奉文大将そのものだね。いや、マレー作戦時においては 彼の階級はまだ中将だったから、山下中将と呼んだ方が適切なのかな?」 「…ぶっとんだ例えで俺を幻惑するのはやめてください…。」 「くっくっく、ゴメンゴメン、ついノリで。」 ノリであんな例えを即座に思いついたのか!? 「もちろん、答えはYesだよ。正直、キョンに面と向かって言われたのにはびっくりしたけど… でも、僕はそれを聞けて本当に嬉しかった。冗談じゃなくね。だからキョン、ありがとう。」 「…お、おう。」 こっちこそ、面と向かって礼を言われるとは思わんかったぞ?いかんな…こういう場面は恥ずかしくなる。 などと思ってた矢先 …? 佐々木はいつもと変わらないニコやかな表情をしていた。…気のせいか? 一瞬表情に陰りが生じたように見えたんだが… 「あれ?あんなところに涼宮さんが。」 現実に引き戻された。 「ハ、ハルヒだと!!?」 俺はパニックになった。いや、決して佐々木とやましいことをしてるわけじゃないが、このタイミングで 鉢合わせはいろいろとマズすぎる…!?というか、なぜここにハルヒが!?どうして!?Why!? 佐々木が向けていた視線の先…もはや何も考える気は起きなかった。俺はただただ一目散に振り返った。 …… 「なあ、佐々木…」 「何だい?キョン。」 「ハルヒなんてどこにもいないんだが…」 「軽いジョークさ。」 「……」 俺は考えることをやめた。 「ゴメンねキョン。つい魔が差しちゃった。」 「魔が差したってお前…いや、もういい。」 俺はテーブルにうつ伏せた。もはや語ることなど何もない。 というか佐々木よ、まさかこの局面でからかってくるとは、よもや思わなかったぞ…?? 俺の心臓はというと、いまだバクバク波を打っていた。お前のその『魔が差した』とかいう 刑事史上最低最悪の動機で、俺がショック死という最低最悪の死を遂げそうだったというこの客観的事実ッ!! 原因と結果のあまりの落差に目眩がしてきた。…マジで、いきなりハルヒの名前を出すような真似は やめてほしい。切実に、本当に切実にそう思った。寿命が10年は縮まったのは言うまでもない。 ということは、これを後6回くらいやられたら、俺は死ぬのだろうか? 佐々木の顔色が一瞬だが悪かったような…とかいう昔のことは、今となってはもはや忘却の彼方だった。 「ところでキョン、話は戻るけど…」 戻るも何もお前がとばしたんだがな…それも1歩どころか別次元へ。 「戻るって…どこまでだ??」 「さっきのお礼の続きからだよ。」 ああ、マジメな話をしてたあの頃か。ひどく懐かしく感じる。 「『ありがとう。』と言ったのはもちろん本心だったんだけど…君にはもう1つ言うべきことがあったんだ。」 「…何だ?言っとくけどな、さっきみたいな不意打ちはもうナシだぜ??」 「大丈夫。もう変なことは言わないよ。」 一息つき、覚悟を決めたかのごとく俺に視線を合わせ、そしてヤツはこう言い放った。 「キョンは…涼宮さんとくっつくべきだ。」 「……」 …… さっき変なことは言わないって言いませんでしたっけ?人間不信に陥りそうなんですが… 「…とりあえず聞いていいか?くっつくってどういうこと?」 「付き合うってことさ。」 さらりと言ってのけた。 …… これが…さっきの話の続き?ちょっと待て。一体どこがどこに繋がってんの??互いを親友だと 確認したまでは覚えてる。それに対し、佐々木が俺に伝えたかったこと…それが『ありがとう。』のお礼、 そしてさっきの『キョンは…涼宮さんとくっつくべきだ。』の台詞。なるほど、よく考えたら繋がってるように… ダメだどう考えたって見えない 「あのなぁ…前後関係が全く見えないんだが!?どうしてそこでハルヒが出てくる!?」 「…なるほど、君はやっぱり気付いてなかったんだね。キョンが…あの場面で強く『親友』という ワードを強調したこと。とっさに出てきた言葉が『親友』だったこと…それが全てというわけさ。」 「??」 「親友というのはね、辞書には載ってないだけでもう1つ意味があるんだよ。 まあ、わからないならわからないでいい。君は…知らなくてもいいことさ。」 やはりというか、やはり意味がわからなかった。ちょっと気になるところではあるが…まあ、本人が知らなくても いいって言ってるなら別段気にする必要もないか、といった具合で俺の中で、それは完結したのである。 …… どこか遠くに視線をずらしたかと思うと、再びこちらに向き直る佐々木。 「…君だって満更じゃないはずだ。涼宮さんのことが…好きなんだろう?」 「……」 …… 「…ああ。」 気付けばそう答えてしまっていた。肯定するのは少し恥ずかしかったが…しかし後悔はしてない。 そもそもの自覚は…第三世界終焉の地だったか。その思いを昨日、俺は確かに【ハルヒ】に伝えた。 その思いに偽りはなかった。 「…なるほどね。君の口からそれを聞けてよかった…ともなれば、後はタイミングだ。 涼宮さんも、キョンのことは好きに違いないからね。付き合う前からすでに相思相愛だなんて… もはや幸せな未来しか見えないな!いやー、実に羨ましい限りだね?キョン。」 「…勝手に決めつけられても困るんだが?なぜそう根拠もなしに ハルヒが俺のこと好きだって断定できるのか…その自信の在りかを知りたいもんだね。」 「じゃあキョン、君と涼宮さん以外のSOS団のメンバーにそれを聞いてみてごらん? きっと僕と同じ回答をするだろうからさ。」 「いや、そんなバカな話が…」 あった。 「くっくっくっ、これで当事者を除いて満場一致だね。 そういうわけで、つまりは君たちの仲をみんな応援してるんだよ。 …僕も含めて。だから、後は君が一歩踏み出せばそれでフィナーレということさ。頑張ってねキョン!」 「そんなお前、他人事みたいに…」 …… しかし、応援されてるってのは、少なくとも悪い気分ではない。 みんなが俺たちのことを祝福してくれてる…実感こそなかったが、実はこれって凄く幸せなことなんじゃ…? と心地よい感傷に浸ってたところに佐々木が一言。 「あ、キョン。後5分で9時だよ。」 …佐々木よ。お前、本当なりふり構わずだな?こんなときまで俺をからかおうってか? さすがにその手はもう喰わんわ…俺にも一応学習能力はある。で、俺はもう少しこの感傷に浸っていたい。 「信じてないって顔だね…くっくっくっ、まあ、それならそれでいい。 ただ、僕が現代に生きるイソップ物語の体現者になるというだけさ。」 「……」 凄まじく嫌な予感がした俺は、自分の携帯で時刻を確認した。 「8時…56分!?」 「あちゃー、どうやらこうやって話してるうちに1分経っちゃったみたいだね。どうするのキョン?」 「どうするって…帰るに決まってるだろう!?」 そういうわけで、急いで勘定を済ませた俺たちは直ちに店外へ出たというわけさ。 …12月の夜ということもあって肌寒かったのは言うまでもない。こっちの意味でも早く帰る必要がありそうだ。 「で、後3分で9時だけど。」 「あのな…常識的に考えて間に合うわけがないだろ…!?死のカウントダウンのごとく 時を宣告すんのはやめてくれ…それより、お前だって門限は9時なはずじゃなかったか??」 「確かに。けど言ったよね?今日は両親がいないって。だから、今日に限ってはそれは通用しないのさ。」 ああ、そうですか。だからお前は余裕もって笑顔でカウントしてたんだな。納得したよ。 しかし…どうせ間に合わないのなら焦るのもバカらしくなってきた。もちろん、早く帰るに越したことはないが… 「佐々木、帰りは送っていかなくていいか?」 かなり暗くなってたんで、一応気になった。 「いや、心配は無用だよ。明るいところを通って帰るからね。 その好意だけ受け取っておくよ。…それに、今日は1人で帰りたい気分なんだ。」 「…そうか。ま、それならいいんだけどな。」 「ところで…キョン。体のほうは大丈夫なのかい?明日学校行ける?」 「ん?ああ…そうだな。」 いつからだろうか。体の倦怠感はすっかり取れてしまっていた。死に体になってた食事前が 嘘みたいなこの感覚。人間の体はうまい具合にできてると聞いたことあるが、それがまさにこれってやつか。 「いつのまにか回復してたらしい。学校にも行けそうだ。」 「そうか…それはよかった。確かに、今は元気そのものと言っていいくらい生き生きとしてる感はあるよ。」 「これも全てはオクラ牛丼特盛りのおかげだな。食べもんの力は偉大だ。」 「おいおい…ここはお世辞でも『佐々木が一緒にいてくれたおかげだ』って言う場面じゃないかな?」 「ははは、そう呆れなさんなって。今のは冗談だ冗談!もちろん、お前にだって感謝してるんだぜ?」 「…別の意味でまた呆れたよ。随分とまあ、してやったり顔だね。よもや君が僕にそんなことを言うとは…。」 「『親友』…だからな。これくらいの言葉のキャッチボール、お前からすりゃまだ全然遊び足りねーだろ? これからもいろんな種類、試していけたらいいよな?」 「…キョン。まったくもう、君ってやつは。仕方のない人だ。」 そう言いながらも、そんな佐々木の顔は…とても笑顔に富んでいたように思えた。 俺の他愛ない言葉一つで楽しんでくれるなら…俺はそれで満足だ。 「ちなみに、それはデッドボールも可なのかな?」 そして、笑顔で何を言い出すんだ?このお方は。 「お前の言うデッドボールって、一体…?」 「うーん、暴言とかその類かな。」 「全力で断る!!そんなのハルヒだけで十分だッ!!」 佐々木に『バカ』とか『死ね』とか言われた日にゃ全力で泣く。いや、マジで。 「ほう…なるほどね。デッドボールは恋人だけの特権というわけだ? まったく、そこまで涼宮さんを特別視するなんて、君の熱の入れようにはあっぱれだよ。」 ヤツはこれを本気で言ってるのか… それとも、すでに俺の反応を伺う変化球タイムに突入してしまってるのか… 今の俺には判断のしようもなかった。これからも親友を続けていればいつかは… こういった差異も見抜けられるようになるのだろうか?ふと、そんなことを思った。 …… 「…羨ましいな。」 「?何か言ったか?」 「くっくっく。なぁに、ただの独り言だよ。キョン。」 Fin
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涼宮ハルヒの出会い 『アイツノソンザイ』 「おまたせー!皆朗報よ!聞いてちょうだい!」 またか…何度も何度も自分に言い聞かせるようだがいつ聞いてもいやだな… いつからだろうな…朗報という言葉に嫌気を感じるようになったのは… 「今度はなんだ?」 「あっキョンいたの?聞いてちょうだい!」 いたの?じゃないだろ!俺がいるから言ってきたんじゃないのか? 今日は俺だけの参加のはずだぞ? 「お前な…朝比奈さんたちは今日は不参加って聞いてなかったのか?つまりだな…」 「分かってるわよ!もうちょっとした冗談じゃない!いちいちつっこまない!」 俺がつっこまないなら誰がつっこむんだ… なんて事は言わない方がいいよな、まぁなんだ話だけは聞いてやるか 「で何だ?」 「あっそうよ!聞いて頂戴!本当は皆がそろってるときがいいんだけど今日は仕方ないわ」 「我がSOS団が結成されてからどれくらいたったか覚えてるかしら?」 そういやこんなふざけた団体はまだこうして活動しているんだよな となると半年くらいか、ずいぶん長い間無茶もしたもんだ 「で、それが朗報と何が関係あるんだ?」 「もう、ここまで言って気がつかないなんて本当に使えないわね!」 「記念パーティーよ!パーティー、もう半年になるのよ!?めでたいと思いなさい!」 おめでたいと思うのはお前の頭の中身だよハルヒ…とまぁなんにせよパーティーだと? どこでするつもりやら…どうかまともな場所でありますように… 「それで場所なんだけどね、やっぱりSOS団の記念ってことだし部室でっていうのはどうかしら?」 …我が家じゃなかったことには感謝しよう、だが部室? そりゃ問題ありまくりだろ…とまぁつっこんでもしかたないがいちを言っておくか 「学校は流石にまずいだろ?もっと他の場所しないか?」 「じゃあどこがいいのよ?」 そうなりますよね…とまぁ一通り考えたが誰かの家くらいしか思い浮かばないな… うーむ、まぁ今回はまともな朗報だったことだし少しくらい無茶に付き合ってやるか 「そうだな、誰かの家だとその人の家に迷惑もかかるかもしれないし今回は学校でもいいかもな」 おい、意外そうな顔をするな、そんなに俺がお前の意見に同意したのが気に食わないのか? といいたくなるくらいの驚きの表情を見せたハルヒなんだが… 「以外ね、熱でもあるんじゃないのかしら?」 「まっいいわ、じゃあ決定ね!明日みんなに話しましょう!もちろん放課後まで皆には内緒よ!」 といってハルヒは部室から出て行った つーこは解散か?まぁ帰るとしますか てなわけで今日は珍しく早く帰れることになった、まぁ明日のことを考えると… えぇい!やめやめ、今日はゆっくり休むことにしよう…考えるだけで疲れる あいつ喜んでくれたかな?いっつも無茶につき合わせてたからたまにはこういうのもいいわよね うん、きっと楽しんでくれるわよ! 明日は皆にも伝えて準備もしないとだから忙しいわ!今日はやめに寝ときましょう ………………ジリリリリリ バンッ 「うぉっ!」 「おっはよーキョン君!」 妹よ…おはようという表現はいささか間違いかもな… 下手したらおやすみだぞ… 「なぁ?何度言えば分かってくれるんだ?せめてもう少し優しく起こしてくれてもいいだろ?」 「えへへ、でもこうしないとキョン君おきてくれないよ?」 反論できないな…うーん自分の目覚めの悪さを恨むぞ と悠長なことはいってられないな、さっさと朝飯を食って準備した俺はいつもの ハイキングコースにいくことにした、この坂はどうにかならないかね… もう秋かと思わせる足はやな紅葉 これが唯一の救いだな とかとか考えているうちに学校だ、さーて今日の団長さんは何を考えてることやら… とまぁ教室にはいったら人目もくれずに 「キョン!今日は放課後付き合いなさい!いいわね!」 それはどっちの意味ですか? 「何がよ?」 いやデートか果し合いなのか 「バカ、昨日のこと忘れたの?」 覚えてますよ、分かった、だからそうふてくされるな 「悪い悪い、冗談だよ、で今日必要なものでも買いにいくのか?」 「もう、いっつもそうなんだから、そうよ!善は急げって言うでしょ?」 「そりゃそうだが昨日の今日ってちょっと急ぎすぎじゃないか?」 「いいの!あんたは黙ってついてきなさい!」 はぁ…まぁ分かりきっている答えなんだがこうなんでいつもなれないものか… 俺の免疫組織はきちんと働いてるのかね?ご主人様のピンチなんだぞー とバカなことを考えているうちにチャイムがなった 急いで席にすわってからは後ろの団長様はさぞ満足したかのように大人しかった 「…珍しいな」 「ん?何かいったかしら?」 「いやなんでもないぞ」 「そう」 今日はちょっと眠いわね…昨日夜中まで起きてたのがまずかったかしら… まぁキョンに用件は伝えたしちょっと寝ようかしら 「……ぉぃ、ハルヒ!ぉぃ…」 ん?キョン? 「あっおはよう、どうしたの?」 「どうしたのじゃないだろ、もうとっくに授業は終わったぞ」 えっ!1時間も寝ちゃったの?まずいなーまぁいいわ 「そう、でどうしたのかしら?」 「ん?自分で言ったことも忘れたのか、何か俺に用事があるんだろ?」 え?まさか!? 「はぁ…お前あれからいくら起こしても目をさまさないから大変だったぞ、今は放課後だ」 「だー今日は仕方ないわ!たまにはそういうこともあるのよ!」 「そうかい…」 笑うなバカ!でもそんなに私寝てたんだ…あぁキョンに寝顔みられたかな? ちょっと恥ずかしいな、変な顔してなければいいんだけど 「じゃ、早速だけどいくわよ!」 「おいおい、いくって何処にだ?場所は決まってるのか?」 「えぇ、材料は当日買うとして今日は小物買いにいくから街までいこうって思ってたの」 「そうか、じゃあ早速いくか」 キョンは準備が終わってるみたい、私も急がないと! そんなこんなで電車にのって街まできたのはいいけどこれってデートなのかな? ちょっと恥ずかしいな、制服っていうのがな~雰囲気でないけどまぁいっか! キョンも意識してるのかしら?ちょっと恥ずかしそうね 「ねぇあそこのお店どうかしら?」 「いいんじゃねーか?」 「もう気の抜けた返事ね、まぁいいわ、いくわよ」 中はいい感じに古ぼけたお店だった、どうやら個人店らしく仲がよさそうな老夫婦が経営してるらしい 物は良心的な値段でどれもいいもの安くって感じね 「これなんてどう?これもいいわね!あっキョンアレとって頂戴!」 「もう少し落ち着けよ…で、これか?」 なんだかこんなの始めて、すごく楽しい! 色々買えたし満足だな~ちょっと買いすぎちゃったかな? 「ありがとうございました、荷物多いようだけど大丈夫かい?」 「あっ大丈夫ですよ!こいつにもたせますから!」 「そう、彼氏さんも大変そうだね、今荷物をまとめてあげるからちょっとまってね」 えっ!カップルに見えたのかな?否定し…とかないであげるわ キョンもちょっと気まずそうにしてるし、今日は特別なんだからね! そんなこと考えてるうちに荷物がまとまとまったみたい 「「ありがとうございます」」 お礼をしてお店をでた、うまくおじいさん達が荷物をまとめてくれたから キョンも持ちやすそうね、あんた感謝しなさないよ?なんて思ってたらキョンから話かけてきた 「なぁ、さっきのおじいさん達いい人達だったな」 以外、カップルに間違われたことを言われるかと思ったけどそうじゃなかったみたいね 「そうね、これだけ買ったのに3000円ですんだのもびっくりよね、サービスしてくれたのかしら?」 「はは、だといいな、なぁハルヒ…そのあれだ、また一緒にこような?」 えっ?以外だった、キョンからそんなこと言われると思ってもなかったし それよりキョンにまたデートしようって言われたのがうれしかった いや、デートなのかな?これは…でも二人でまた一緒に遊べるならいいかな 「そうね!まぁどうしてもっていうなら付き合ってあげるわよ!」 「はは、じゃあどうしてもって事にしておいてくれ」 はぁ…私って素直じゃないな、でもキョンにはこれくらいで丁度いいかな? あっもう駅か、しかたない電車賃くらい出してあげるわ! 荷物持ちのお礼って事にしておいてあげる 「まってなさい、いま切符買ってくるから」 「えっいや「いいの!そこでまってなさい!」 「じゃあお言葉に甘えとくよ」 急いで切符を買ってキョンに渡したあと電車は以外とすぐにきた なんだろう、電車の中では会話できなかった… 最寄り駅が近いのもあるかもしれないけど あっおりないと! 「おりるわよ!ほら、もうあぶなっかしいわね!」 「悪い悪い、っとよし行くか」 「あぁハルヒ!そういえば荷物どうするよ」 あちゃー考えてなかった…今から学校に行くわけにもいかないしな…どうしよう… 「しゃーない、家で預かっておくよ」 「あっあんたにしちゃー気がきくわね、じゃあお願い」 「おう、あっ日程はもうきまってるのか?」 「うん、明後日にするわ、次の日が土曜日だから遅くまでなっても平気でしょ?」 「うーむ、あんまり関心しないがまぁそうだな、わかった、じゃあまた明日な」 「あっ…うん、ちょっとまって!」 あっ…勢いで呼び止めちゃった…どうしよう… 「ん?どうした?」 ほら…もう、いくっきゃないわね 「荷物重そうだし…途中まで手伝ってあげるわ!感謝しなさいよね!」 あっなによ!以外って顔すんな!バカ 「うーん今日はやけに優しいな?どうした?」 「ばか、いつも優しいわよ!」 「そうでした、じゃあよろしく頼む」 「うん」 軽い荷物を受け取って私が持つことにした、そういえばキョンの家と私の家って 少し遠いのよね、帰りどうしようかしら… まっ今日はいいわよね、少しでも長く一緒にいたいし 「おい~ここまででいいぞ~」 えっ?あっぼーっとしてた、もうついちゃったのか… 「うん…」 何か話せばよかったな… 「んーアレだ、今日はなんか俺ばっかり優しくされて不公平だな、家くるか?お茶くらいはだすぞ」 えっ?キョンの家?行きたいけど…どうしよう… 「いく!」 あっバカ!何素直にいちゃってるのよ 「おう、んじゃここからすぐだから、荷物はもういいぞ、助かった」 「うん」 それから少し歩いてすぐに家についた、結構いい家にすんでるのね 「ただいま~、おいハルヒ部屋はこっちだ」 「あっ、おじゃまします」 「今日は誰もいねーぞ、なんか母親は妹つれて友達と遊びにいったしな」 「あっあんたまさか!」 「ばっばか言うな!7時には帰ってくるとか言ってたし何もしせんわ!」 まぁキョンが相手なら…って何私考えてるんだろ! 「ちょっとからかってみただけよ、あんたにそんな勇気あるはずないしね!」 「後が怖いからな、っとお茶入れてくる、適当に座ってていいぞ~」 そういわれてリビングに通された 「ねぇ、キョンの部屋どこ?」 何言ってるんだろ私 「ん?部屋?なんでだ?」 「キョンの部屋がいい」 ほらまた… 「んー変なもの探すなよ?こっちだ」 「ばか!探さないわよ!それとも何かあるのかしらね?」 やった!キョンの部屋にはいれる! 「アホ、ないわ、ここだ~今お茶もってくるからまってろ」 そういってキョンは下にいった 「これがキョンの部屋か~以外ね、綺麗じゃない」 あっベットだ………… バフッ、キョンの匂い…いいにおいだなー…ガチャ 「おーいお茶もってきたぞ、っておい」 あっしまった! 「あっちょっと疲れたから横になりたかったの!」 うぅーしまった、見られた… 「ん、まあ飲め、冷めるぞ」 「うん」 うー気まずいな、早く飲んじゃえ 「あつっ!」 「おい!大丈夫か!みせてみろ」 うぅーばかした、舌やけどしてないかな… 「ほれ、はやくベロだせ」 「うん」 「大丈夫そうだな、あんま無理すんな」 「うん」 うん、としかいえないよ…きまずい… 「ばか…あんまり人のベロじろじろ見るな」 「あっ悪い悪い、っともう40分か」 「うん…」 どうしちゃったんだろう今日の私…なんか素直になれないな… 「送ってくよ」 「えっ?」 今送っていくって言ってくれたの? 「もう外も暗いしな、ほれいくぞ」 「あっ、うん」 今日はやけにキョンも優しいわね、どうしたのかしら? まさかキョンも…?だといいな…エヘヘ 準備も終わって家をでた 「おじゃましました」 もう秋だな~って思うくらい外は暗くて涼しかった ちょっと寒かったかな そうおもってたらキョンが 「今日はちょっと寒いな、上着きてくりゃよかったな」 「バカ…じゃあ手繋ごうよ…」 何言ってんだろう…カップルじゃないんだよ? これで断られたらきまずいよ…いつも見たく勝手に繋げばよかったのに… 「んーそうだな、でもいいのか?」 あっキョンもまんざらじゃなかったのね?よかった! 「今日は特別って言ったじゃない!明日からは無しよ!」 「へいへい、じゃあ今日だけ甘えておきますよ」 どっちからとも言わずに私達は手を繋いだ… お互いちょっと無言だったのはお互い気まずいからかな? とか考えてたらもうすぐ家だ 「キョン、ここまででいいわよ」 「ん?家まで送ってくぞ」 「大丈夫、もうそこの角まがったらすぐだし、親も心配してるからさ」 「んーそうだな、こんな時間に俺がいったら親もいらぬ心配するしな」 「ばーか、まっそういうことよ、今日はご苦労様」 「おう、んじゃまた明日な」 「うん」 少し名残惜しかったけど手を離した… キョンを見送って背中が見えなくなった… なぁハルヒ?今日のお前はどうしちまったんだ? そりゃ俺としてはだな、まぁうれしくないって言ったらウソになるが あいつもずいぶん丸くなったな、にしても俺はなさけないな… 普通男からすることをほとんどあいつからか… もう少し古泉を見習うか にしても俺ってやっぱりアイツのこと意識してるのか? 今日はやけに緊張したな、そりゃ普通にまともなデートとかは初めてだが 俺もしかしてあいつのこと… キョンに対しての気持ちっていつからだったんだろ… もしかしたら始めから?でも気持ちが確かなものだって分かったのは 今日改めてかな…たぶん好きになったのは夢の後あたりからかな… ねぇキョン… 「キョンにとっての私は?…」 「ハルヒにとっての俺は?…」 「俺にとって」 「私にとって」 「「アイツノソンザイって…」」
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ハルヒ「なっなによこれ!」 ハルヒが目を覚ますと目の前は真っ暗だった 目隠しの黒布がハルヒの視界を妨げていたからだ それだけではない 手は後手に、足はM字開脚の形で縛られている おまけにハルヒは気付いていないが服装は体操服にブルマ姿だ 「誰よっ外しなさいよ!!」 叫んでも人が来る気配はない 疲れた。お腹もすいた。そして膀胱の方にも水分が… ハルヒはだんだん声を出さなくなった こんな姿を誰かに、とくにSOS団の仲間に見られたら… でもずっとこのままなのはいや… 古泉「変ですね…」 キョン「どうしたんだ、いきなり」 古泉「閉鎖空間が発生しました…しかし、どうやらいつものものとは様子が違うようだ」 キョン「それは…この世界の危機ってことなのか?」 古泉「いえ…はっきりとは分かりませんが、そういうわけではないようです」 キョン「どういうことだ。わかりやすく説明しろ」 古泉「すみません、僕にもよく分からないんですよ。とにかく、僕は今からアルバイトです」 キョン「おい、…俺も、連れて行け」 俺は舌打ちをした 肝心な時、頼りになる長門はいない そもそも古泉がその違和感を感じたのは俺と二人になった帰りの電車の中だ 「やはり変です…」 「だから何がだ。主語を先に言え」 俺の苛立った声に古泉はまたすみませんと言って少し微笑んだ 場を和ませるつもりで笑ったのか、癖なのかは知らんが俺はそれにまた苛立ちを覚えた 「閉鎖空間の入口が確認できません」 「なんだって?」 「…今までこのようなことは経験したことがありません。……異常事態とでも言いましょうか。」 古泉もその小綺麗な顔から笑顔を消した その顔は俺には必死に言葉を探してるように見えた 「……涼宮さんの精神が不安定な状態にあるのは確かです。ただ、この世界に直接影響があるわけではない……です、だから、僕には閉鎖空間の入口が確認できません」 ラッシュ時間でもない、電車が通り過ぎたあとの閑散とした駅のホームで俺たちは夏でもないのにやたらと汗をかいていた 今日はSOS団の活動はなかった ハルヒの姿も見ていない。ハルヒは欠席だったから めずらしいなと思ったが大して気にとめなかった しかしハルヒの家に連絡すると今朝確かに家を出たという 俺は古泉を連れて学校に戻った 俺はもうすぐ下校時間になろうかという校舎内を古泉と探し回った ハルヒの携帯はまったく応答がない もう時間がない 校舎のはずれの普段は使われていない第二実験室、鍵がかかっていないことを不審がる暇もなく俺は扉を開けた そこには、縛られた体操服姿のハルヒが、 「だっ、誰よ、誰なのっ」 ほこり臭い部屋の机の上、がくがく震えているそいつをやっと見つけ 俺がまさに声をかけようとしたときだ 「やだっ、いやぁ…いやあああ見ないでえええ!!」 ハルヒの盛大な放尿ショーだった びくびくしながら尿は音を立てて板張りの床を打つ うっすらほこりの積もった床の色を変えてゆく 思わず、俺はその場に立ち尽くしていた 「ハルヒ!」 我に返って駆け寄ったときにはハルヒは失神していた とにかく腕やらを縛る紐を解いてやる 扉の音と足音に振り向くと反対側を探していた古泉、そして長門も一緒だ 「…閉鎖空間は解除されました。……おそらく、これが彼女の望んだ…」 古泉が手で口元を押さえてうつむく 「……長門」 俺の言葉に長門は無言で頷いた 「…涼宮ハルヒ」 ぽつりと呟いた長門の言葉は俺にも古泉にも、もちろんハルヒにも届かなかった 終わり ハルヒ「キョン、……しないと死刑よ!」 みくる「私も死刑でお願いします!」 古泉「僕も!僕も!」 鶴屋「私もにょろ~!」 長門「私も」 ハルヒ「じゃ、じゃあ……私も」 キョン「よし、お前死刑な」 ハルヒ「二班に分かれるからクジ引いて頂戴!」 …… ハルヒ「あ、私は印入り」 キョン「無印だな」 古泉「無印のようです」 長門「無印」 みくる「無印です」 ハルヒ「……え?……あれ?」 キ・古・長・み「では、そういうことで」 ガタッ ハルヒ「ちょ……何よこの展開……あれ……涙が……」 「ねえ、みんな最近不思議な事件とか見つけた?」 「………無い。」 「残念ながら僕も見つけられていません、努力はしているはずなんですがね。」 「ホントにぃ?ちゃんと探せばきっとそこら辺に転がってるはずよ。」 「謎がそこらへんに転がってりゃ今まで苦労はしてないぞ、ハルヒ」 「うっさいわね、雑用の癖にー。」 「あ、そういえば私今日こんなこと聞きましたぁ」 「え?なになにみくるちゃん?」 ハルヒ「………」 ハルヒ「なに一人でやってんだろ私」 ハルヒ「みんながこなくなってから約一ヶ月か……」 ハルヒ「………寂しいよみんな。」 ハルヒ「今日は私の誕生日よっ!!さぁ、祝いなさいっ!」 キョン「はあ、結構期待してたのにな…お前にはガッカリだよ。じゃあな」 ハルヒ「へ?」 古泉「どうやら僕は涼宮さんを買い被っていたようですね。では行きましょう朝比奈さん」 みくる「う、うん」 ハルヒ「ちょ、ちょっと…」 長門「私は…」 ハルヒ「有希…」 長門「今日という日を楽しみにしていた。期待外れ。帰る」 ハルヒ「あ…」 ハルヒ「なによなによなによみんなしてっ!エイプリルフールが誕生日じゃ悪いって言うのっ!? バカー!」 ウワァァン ハ「ポケモンするわよ~」 キ「古っ」 み「今時でですか!?」 有「今はムシキングの時代」 ハ「みんなっひどい・・・」 ハルヒはそういい残すと涙を隠しながら部室から逃げるように出て行った キ「いやぁポケモンしてるの気づかれなくてよかったよ」 み「本当です」 有「・・・」 キ「ばれたら俺のパーティ全体マダツボミにされちまうぜ」 み「涼宮さんが持っていたの赤っぽかったですけどね~」 キ「ええ」 キ「え?」 「この中に、宇宙人、未来人、異世界人、 超能力者などがいたら私のところに来なさい 以上」 何を言ってるんだこいつは 「宇宙人なんていない」 長門・・・ 「未来人なんていません そんなのただの妄想にすぎません」 朝比奈さん・・・ 「超能力者?寝言は寝てから言ってください」 古泉・・・ 「う・・・みんな・・・信じてないわけ?・・・いいよもう・・・うぅ・・・」 古泉「過疎ですね…ここは一つ、スレを盛り上げるという名目でSSでも書きませんか?」 キョン「俺はハルヒが拉致られて無理矢理獣姦させられる物語を所望する」 みくる「わ、私は涼宮さんが大学生グループに輪姦される話がいいと思いまーしゅっ!」 長門「変態にダルマにされ、調教される涼宮ハルヒの物語が読みたい」 ハルヒ「あんたら私になんか恨みでもあるの?」 そりゃあ、もう ハ「野球するわよ~」 キ「嫌だ」 み「嫌です」 長「嫌」 古「それはちょっと断らせて・・・」 ハ「古泉君だけ賛成ね みんなSOS団員という自覚が足りないんじゃないの?」 ハ「今日は私の誕生日よ 祝いなさい」 キ「嫌だな」 み「それはちょっと・・・」 長「嫌」 古「僕の意見としても個人を祝うのは・・・」 ハ「古泉君だけしか祝ってくれないわけ?」 ハ「はぁ・・・やっぱり古泉くんだけしか頼りに出来ないわ」 古「ははは 僕はメス豚には興味ありませんよ」 ピルピルピルピピルピー♪ キョン「お、ハルヒからメールか」 From ハルヒ Sub 無題 本文 助けて殺されちゃ( _ ) キョン「うぜっ、『迷惑メールすんなっ!』と…送信」 続く デーデーデーディードードーディードー♪ みくる「チッ、誰だよこんな時間に…げっ、涼宮じゃん!」 From ハルヒ Sub 無題 本文 SOS! みくる「うぜぇっ!!はいはい『団』とでも答えればいんだろうがよぉ!意味わかんねぇよ糞ビッチが!死ねっ!…送信」 続く ブルルルルル♪ 長門「メール」 From ハルヒ Sub 無題 本文 ナニちけτぇー(uдu) 長門「涼宮ハルヒ…」 長門「涼子ぉ、メールきたー」 朝倉「はいはい、あんたもメールくらい自分で打てるようにならなきゃダメよ?」 長門「うん」 朝倉「……『ヤッポー(^∀^)ノシ ユッキーナニ゙よ。メールありがとね(はぁと×7)よくわからなL1けどくU゙けナニらナニ゙よ(*^v^*)b』…送信。」 続く ハルヒ「なんで誰も助けに来てくれないのよぉ!」 古泉「もう理解出来たでしょう?誰もあなたを必要としていないのですよ。もちろん、僕達も…」 ハルヒ「そ、そんなことないっ!そうだ、鶴屋さんなら…」 古泉「アドレス知っているのですか?」 ハルヒ「う……じゃ、じゃあ阪中さんに…」 古泉「アドレス知っているのですか?」 ハルヒ「………」 古泉「誰もあなたを助けに来ませんよ。皆、あなたの被害者なのですから…」 ハルヒ「なによそれ……全然意味分かんないっ!」 古泉「あなたも…変な力を持たなければ…普通に生きて行けたでしょうに……残念ですがこれが《機関》の総意ですので、さようなら涼宮さん」 ハルヒ「待って行かないで!出してよ!ここから出してっ!」 古泉「………やれ」 新川「………はい」 ハルヒ「いやあああぁぁぁぁ!!!!」 私はSOS団恒例の不思議探索の待ち合わせ場所でみんなを待っていたら 「ちょっとみんな遅れるからそこで待ってて」 「みんなってなによ?みんなキョンと一緒にいるの?」 「詳しくは後で話すからとりあえずそこで待っててくれ」 「あっ!ちょっと待ちな…………切れた」 キョンからこんな電話がきた。みんなで私を待たせるなんてどういう気かしら? ……もしかしてサプライズパーティ?みんな今日が私の誕生日なの覚えててくれたのかしら? と、ワクテカしながらみんなを待ってた。 翌日 「30分待っても来ないから先に帰っちゃったわよ」 と、私が言うとみんなは口を揃えて 「なんだよ。あと5分も待っててくれれば着いたのに」 …オカシイよね。三時間も待ってたのに。 ハルヒ「誰……? 正直に言いなさい……今ならまだ許してあげるわ……」 キョン「……」 長門「……」 みくる「……」 古泉「……」 ハルヒ「……誰かがやらなきゃこんなのここにあるわけないじゃない……往生際が悪いわね……」 キョン「……」 長門「……」 みくる「……」 古泉「……」 ハルヒ「……もういいわ!! みんな見損なったわ!! ……こんな子供みたいなことして……」 キョン「……」 長門「……」 みくる「……」 古泉「……」 ハルヒ「……部活の邪魔ね! 片付けなきゃ……!」 そう言ってハルヒは団長机に盛られた特大の糞を片づけ始めた。 ガチャ ハルヒ「やっほ……って誰もいないわね…… ……? ……このお茶は……?」 ハルヒ「みくるちゃん一回来たのかしら……? まあいっか、頂いちゃお」 ゴクゴク ガチャ! ダダッ キョン「ハルヒ! お前そのお茶を飲んだのか!?」 ハルヒ「え……ええ……なに……? なにかしたの?」 長門「そのお茶には……何者かが入れた猛毒が……」 ハルヒ「え……ええっ……!!? ちょっとちょっと……嘘よ! 嘘でしょ!?」 キョン「ハルヒ、腹を出せ!! まだ間に合うかもしれない……オラァァァ!」 ボグッ ハルヒ「ウァ…アガァ……キ……キョン……!? なに……を……?」 キョン「いいから腹を出せ!! 今なら殴れば逆流して吐かせられる!」 みくる「涼宮さん! このままじゃ死んじゃいますよ! 早くお腹を出して下さい……!!」 ボグッボグッ ハルヒ「ウグッ!! オエッ!!」 ゲロゲロ キョン「あっ……よかった、吐いたな危なかった……! ハルヒ大丈夫か……!?」 ハルヒ「うっ……ううううっ……お腹痛いよ……キョン……」 キョン「ソファで安静にして待ってろハルヒ! 俺達はお茶に毒を入れたやつを探してくる!」 ガチャ バタン! ハルヒ「ううっ……痛いけど……キョン……ありがと……」 キョン「いやぁ、流石長門だな。こんなストラト解消法なんて考えもしなかったぞ」 みくる「慌てたりお腹痛そうにしてたのがもう、すっとしましたねぇ!」 長門「……これぞ最強のいじめ……」 祇園精舎の鐘の声、諸行無常のハルヒあり。 娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。 おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。 たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。 キョン「ということで、おまえは塵だ、ハルヒ」 みくる「ばいばいき~ん」 古泉「去ね去ね!」 長門「・・・やれやれ」 ハルヒ(´・ω・`) キョン「だいたい、ハルヒに気に入られたからといって、罰金だの死刑だの、 知ったことではないんだが・・・」 長門「私の任務は観察であって、世界が崩壊したとしても不都合はない」 古泉「そういえばそうですね。僕もキャラ作りに疲れました。 あなたとゲームをする以外に楽しみもありませんでしたし」 キョン「俺はSOS団なんてわけのわからん組織はやめて、普通に生きていくことにする。」 古泉や長門と遊ぶのは学校帰りでもいいんだし」 みくる「そんな~,わたしが困りましゅ~」 長門「黙れ、雌犬・・・」 古泉「乳揉ませろや、このポンコツ」 キョン「確かに、朝比奈さんはおかず以外には役に立たないな」 みくる ( ´・ω・) ハルヒ「やっほー、全員そろってるわね」 キ・古・長・み「お前は引っ込んでろ」 ハルヒ (´;ω;`) 鶴屋「めがっさにょろーん!!」 キョン「うるさい」 ハルヒ「そうよ!そうよ!あんたうるさいのよ!」 鶴屋「にょろ~ん…」 キョン「うるさい黙れ」 ハルヒ「そうよ!お黙りなさいよ!!」 キョン「お前に言ってんだよバカ!鶴屋さんの声が聞こえないだろ!!」 ハルヒ「( ´・ω・`)アレ~?」 ガチャッ キョン「うぃっす」 ハルヒ「遅いじゃない」 中に居たのはハルヒだけだった、そうかじゃあ帰るか ハルヒ「ぐおしゅ!!ま、待て!待ちなさい!」 キョン「なんだよ!俺になんか用か?」 ハルヒ「いやだってさ…その…部活していきなさいよ!SOS団でしょ!」 キョン「そんな言葉で俺が買えるとでも?」 ハルヒ「いや買うって…じゃあ値段は体で払うわ♪」 キョン「お疲れ様でしたー、鍵は閉めて帰れよ」 ハルヒ「……」 「うう、寒い。今日はまた一段と寒いなぁ。今日の最高気温10度だってよ。風邪ひいちまうぜ。」 バサッ 「?...毛布?」 「別にあんたのためにかけてあげたんじゃないんだからねっ!」 「ハルヒ、ツンデレはもう時代遅れだ。さっさと消えろ。」 「うっ...。」 「泣くんじゃねえよ。キモい。」 ハルヒ「ちょっとキョン大変よ!」 キョン「なんだ、うるさいな」 ハルヒ「っ!…うるさいですって!……まあ、いいわ。それより部室がなくなっちゃったのよ! きっと生徒会のやつらよ!」 キョン「それがどうしたんだ?」 ハルヒ「え?」 キョン「要件はそれだけか?じゃあ、俺は長門たちと遊ぶ約束があるから行くぞ」 ハルヒ「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!SOS団の危機なのよ。どうにかしようと思わないわけ?」 キョン「思わないね。元々、俺たちはお前が勝手に始めたことに無理やり付き合わされてきただけだからな」 ハルヒ「な」 キョン「部室が没収されたのだって長門が文芸部を退部して廃部になったからだ。終わりだな?俺は行くからな」 ハルヒ「ちょ……キョン… 行っちゃった……なんでよ…… キョン「あ、そうそう」 ハルヒ「キョン!?(戻ってきてくれた!)」 キョン「お前、後からついてくるんじゃないぞ。さめるからな」 ハルヒ「………」 キョン「朝比奈さんがハルヒと接触したということは、既定事項が成り立っていないんじゃないですか」 みくる「!! そうでしゅね。キ、キョン君、私と付き合ってください」 キョン「もちろんですよ」 キョン「ということで、朝比奈さんと付き合うことになった」 ハルヒ「団内で恋愛なんて認められないわ」 キョン「じゃあ、やめさせてもらう」 古泉「僕と長門さんもやめなくてはなりませんね」 長門「・・・そう」 キョン「じゃあ、帰るか」 古泉「そうしましょう」 ハルヒ「ちょっとみんな、待ちなさい」 みくる「もてない人は悲しいですね~」 長門「いつまでも電波ばかり発しているからもてないことに気付くべき」 ハルヒ (´・ω・`)
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第二章 断絶 週のあけた月曜日。あたしは不機嫌オーラをばらまきながら登校した。 半径5メートル以内に人がいないのがわかる。 教室に入り、誰も座っていない前の席を睨む。 二年生になっても変わらないこの位置関係に怒りを覚えたのは初めてだ。 あいつを見ていなければいけないなんて。 幸いなことに今日は席替えがある。 入学してからずっと続いていた偶然が途切れることを祈った。 遅刻ギリギリにあいつが教室に入ってくる。 席に鞄をおろして声をかけてくる。 「土曜日はすまなかった」 無視。 「今度からはちゃんと行くからさ」 無視。 「……?おーい」 無視。 ため息をつくとキョンは前を向き、岡部が入って来た。 授業中はイライラしっぱなしでろくに話も聞いていなかったけど 学校の授業なんて余裕よ、余裕。 こんなのもわからないなんて本当にキョンはバカよね。 待ちに待った席替え。 あたしは窓際一番後ろ。 キョンは廊下側一番前。 教室はパニック寸前だった。 ……この程度のことで騒がないでよ。 キョンを谷口のバカと国木田が慰めている。キョンは憮然と、と言うか唖然としている。 キョンは鞄を持つと教室をでた。 掃除を終わらせ我がSOS団部室へ向かう。 扉を開けるとそこには古泉君と有希とみくるちゃんと…… キョンがいた。 あたしの我慢は限界に近づいている。 あたしたちに嘘ついてまでデートしてたやつがのうのうと 『あたしたち』といようとする。 「キョン」 「何だ?」 普段と全く変わらない様子についに切れた。 「なんでここにいるの」 「いちゃ悪いのか?」 「ここはSOS団の部室よ」 「それが?」 「あたしたちに嘘ついて、SOS団の用事を放って、デートしたやつに ここにいる資格はないわ」 怪訝な顔をするキョン。 「ちょっと、ま……」 もうこれ以上聞きたくない。 『『出てけ!』』 ”四重奏”とともに古泉君につかみあげられて廊下に引っ張られるキョン。 ほかの四人も我慢の限界だったみたい。 「おい、ちょっと待てって。話を……」 鈍い音がしてキョンが黙る。 やけにニコヤかな古泉君が部室に入って鍵を閉めた。 改めて部室内を見渡すとみんなの怒り具合がわかる。 古泉君はボードゲームを出してなかったし、 湯のみも有希と古泉君の分しか出てない。 「はい、みんな注目!邪魔者も出てったところで次回の不思議探索について ミーティングを行います」 ここでいったん間。 「今度の土曜日十時に街に集合よ。遅れたら、罰金だから!」 空気が一瞬重くなる。 「罰金=キョン」の方程式が成り立っているみたいだ。 「そうですね。そっちの方がいいでしょう」 古泉君がいつものように朗らかに同意する。 「はい、お茶です」 それから他愛もない談笑で時が過ぎ、有希が本を閉じてあたしたちは下校する。 そのときあたしは廊下にあるものを見つけた。 「ねえ、古泉君」 「何でしょう?」 笑って答えながら、古泉君もあたしと同じ場所を見ている。 「どのくらい強くあいつを殴ったの?」 転々と跡を残しているそれは……。 「見た通りだと思いますよ」 そう、それは血だった。 <幕間2> 朝、学校についてハルヒに土曜日のことについて謝ったが無視された。 悪いことしたな、とは思ったけどここまでひどい扱いを受けるとは。 そのことに少なからずへこんでいて、授業には全く身が入らん。 わかんねえ……、ってつぶやいたら後ろのハルヒに鼻で笑われたような気がする。 俺が何をしたってんだ。 席替えがあった。どうせハルヒの前だろうって思ってたんだが 何が起きたのか、一番遠いところに座るはめになった。 ……ざわざわしすぎだお前ら。 偶然だろ、席替えなんて。 国木田と谷口がどうやら慰めてくれてるらしいがそんなことは気にならなかった。 とりあえず部室に行ってほかのやつらに話でも聞こうか。 と思ったんだが、みんなの反応がなんか――というか、ものすごく――よそよそしい。 古泉はボードゲームを誘ってこないし、朝比奈さんは俺にお茶を入れてくれない。 長門に至っては怒りの視線をぶつけてくる。 ……はげるって。ストレスで。 しばらくして掃除当番だったハルヒが入って来た。 こっちを見てものすごく不快そうな顔をする。 そして訳の分からん難癖を付けてきやがった。 「ここはSOS団の部室よ」 ってそれくらい知ってるさ。なんで俺がいちゃいけないんだ? ……。 土曜日?デート? ああ、『あれ』か。『あれ』を見られてたのか。 そりゃ、事情を知らなきゃ怒るだろうな。 とりあえず説明しようと口を開いた俺を……。 古泉がつかんで廊下に投げ飛ばしていた。 長門にまで「出てけ」って言われたのは正直きつい。 もう一度説明しようとした俺を古泉が思いっきり殴る。 壁に頭をぶつけて意識が遠ざかる。 気づくと部室内では次の土曜日のことを話していた。 こうなったら最終手段かな。 痛む頭を抑えて俺は学校を後にした。 終章